大曾根異変(4)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
ボスは筒状の口を大きく開け、息を吸った。
道隆は抵抗するも、粒子化した肉体は徐々に引き寄せられてしまう。
ボスは胸の両目でそれを見ると、愉快そうに喉を鳴らした。
しかし、名古屋が道隆にとって有利なフィールドである以上、集中すれば十分抜けられる。
首がコリを解すようにゆっくりと旋回する。
高架に口が向くと同時に、長い首に杭が撃ち込まれ、金属塊は地中に深々と刺さった。
爆風によって通りに面したビルが震え、亮典が転倒する。守護の外套に包まれた杏子は無事だ。
ボスは道隆の前に向かって吹き飛ぶ。
夜色の怪人は固体化し、飛来する熊もどき目がけて右拳を打ち上げるように放った。
高校時代の頃、バレーボールで握り拳のスパイクを打ったことがある。
以前とは違い、拳はボスを弾く事なく、身体を貫いた。
長い首は無残にちぎれているが、ボスは動きを止めない。
彼の中枢は胴体にあり、首が無くなっても致命傷にはならないのだ。
左腕が噛み千切られたように消失し、胸と腹の間を貫かれても、まだ行動不能には至っていない。
道隆がトドメを刺そうとした瞬間、その場に突風が吹き下ろす。
暁が帰還し、勢いのまま体当たりを繰り出したのだ。
道隆は霧と化して、その場から姿を消した。不可視の怪人のそばを、羊頭が通り過ぎる。
宙に舞ったボスの身体が数十m先で地面に埋まり、そこを中心に亀裂が生じた。
「お、おい待て、待って」
「あぁ?お前みたいなクズ、生かしとく訳ねぇだろ?」
弱弱しく媚びるボスに毒づき、痩身の獣は右胸の眼に腕を突き込む。
絶叫し、大きな腕で暁を倒そうとするも、軽々と避けられてしまう。
ダメージは与えられなかったが、彼から逃れる事には成功した為、概ね目論見通りだ。
「うぉ!」
暁が離れた瞬間、雷が落とされた。
霧となって、周囲に漂っていた道隆が攻撃を放ったのだ。
刹那の間に数万アンペアの電流が流れ、ボスの意識は一瞬、ショートした。
「おい、お前、手ェ出してんじゃねえよ!」
暁は変身したまま、首を左右に振る。
道隆の姿が見えないのだ。青い怪人は固体化せず、空気を振るわせて答えた。
「先にて、出したのソイツだし。文句言うなら、さっさとやれよ」
「わかってるよ!」
ボスは全身を炎に包んで立ち上がる。
傷が塞がっているが右胸の目が潰れ、筒状の首が、王冠を思わせる口に変化している。
完全再生とはいかず、外見が変化したのだ。
「戻ってくるなら許してやろうと思ったんだが、もう駄目だぞ…」
「許す気なんかねぇ!!」
巨獣は再び、外皮を纏った。
体格が一回り大きくなり、風を操る形態から、炎を操る形態へ。
ボスは嘲笑と共に、突進する怪物を迎える。
鋭く振るった爪が、粘り気に捕まる。
ボスは反撃に転じようとするが、身体を宙に持ち上げられると、腕の動きを止めた。
暁は捕まえた熊もどきの身体を滅多矢鱈に打ち付ける。
ボスは猛火の突風を起こし、暁から距離をとる。
次の瞬間、炎が縮みだした。炎の壁は火の粉に変わり、まもなく消失。
足をつけた熊もどきは、伸ばした腕を地面に落とした。
小刻みに震えだし、やがてぶつぶつと何事かを呟き始めた。
羊頭が道隆に視線を投げるが、彼にも心当たりはない。
首を左右に振る青い怪人から目線を外し、暁はボス目がけて爪を二度、三度と振り下ろす。
ありがとうございました。