大曾根異変(3)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
亮典が操る、治癒の力だ。
負傷を癒し、痛みを和らげるそれは、男性に強く作用する。
暁の身体から粘り気と傷が消え、瞬く間に闘えるようになった。
それと同時に、ボスが氷結を解く。
気付いた道隆が放った杭が、炎の嵐の中に消えた。
追撃するべく腰を落とした道隆の背後から、亮典を乗せた痩身の巨獣が飛び出す。
炎の壁を飛び越すと同時に、大蛇のような双腕が宙を走る。
風の刃が幾筋も傷をつけるが、ボスは攻撃を止めない。
腕を挟み込むように動かし、暁を捕らえようとする。
「喉に腕を突っ込んで、真っ二つにしてやるぜ!ガキども!」
道隆は杏子を保護するべく、身を翻す。
咆哮を背に女の脇に腕を回し、抱えて宙に浮きあがる。
「ちょっと、離して!」
「落ち着いて、大丈夫だから…」
暁は間合いを取りつつ、風の刃をぶつける。
身体に触れると、モチのような粘り気で動きを封じられてしまう。
ボスは爆発するような火炎の波を浴びせると同時に、腕で巨獣を追尾する。
巨獣はすれ違いざまに、熊もどきの右肩を抉る。
強靭な皮膚と肉を引き裂いた爪に、糸が絡みついていた。
「甘いんだよ」
ボスは暁の身体を掴み、アスファルトに何度も叩きつける。
蛇のように動く腕が上下する度に、巨獣の身体に重く、短い痛みが走った。
暁は烈風で腕を両断しようとするも、筋肉を裂くだけで終わる。
「それ!」
ボスは血を流しながら、粘着を解いて暁を投げ飛ばす。
とはいえ、戻ってくるまでに長い時間はかかるまい。
振り返り、若い母子を我が物にするべく、2人に躍りかかった。
その寸前、距離を詰めた道隆が回し蹴りを繰り出す。
虚を衝かれた彼は蹴り足を胸で受け止め、吹き飛ばされる。
あまりの激痛に受け身もままならず、彼は落下する砲丸のように地面に叩きつけられた。
「う、ゲハぁッ…、そ、そういや、お前、見た事ないな、誰?」
「通りすがりのホームレス」
ボスは長い首を動かし、声を震わせて言った。
肩の傷は既に塞がり、まもなく痕跡すら消えるだろう。
「部外者が邪魔するんじゃねーよ、とっとと帰れ」
「家なら今朝無くなったよ」
道隆が吐き捨てるように言うと、ボスは胸を反らせて笑った。
笑いを収めると、低い声で呟く。
「じゃあ死ね」
目の無い頭、一対の腕が射出された。
道隆は霧に変化し、ボスの鷲掴みを回避する。
彼と暁の戦いぶりを見ていた為、殴り合いに持ち込ませる気はない。
ありがとうございました。