大曾根異変(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
4名と1人の前に、不潔そうな男が現れる。
波打つ髪が顎の位置まで伸びているが、逆に前髪はかなり後退しており、まるで落ち武者のようだ。
顎は無精髭で覆われ、唇が分厚い。彼は並んでいる面を見渡し、口を尖らせる。
「なんだよ、ユリカしか残ってねぇージャン。使えねぇ~」
ユリカ、と呼ばれた女が肩を小さく跳ねさせた。
黒縁の眼鏡をかけたユリカは、髪を桃色に染めている。
「よォ~、ショウ!お前、あれだけハメてやったのに、まだ俺に逆らうのか?」
「……殺す」
巨獣が絞り出すように言うと、ボスは下品に笑う。
暇と精力を持て余していた彼は、美童に手を付けてみたが、これが思いのほかよかった。
特に暁は最高だった。女の柔らかさとは違う、張りのある瑞々しい少年の体。
「そっちにいるのは亮典か。俺に恥かかせやがって、もう母ちゃん傷モノにされても、文句いえ――」
全て言い切る前に、ボスの身体が燃え上がる。
一呼吸で内臓を熱気で炙られ、彼は苦しそうに咳き込む。
「やりやがったなぁ!」
不潔っぽい男が、赤胴色の怪物に変わる。
その全体は、立ち上がった熊だ。しかし、胸から上が悍ましく変化していた。
両胸で巨大な眼球が瞬きし、首があるべき位置には、いやらしいピンク色の触手が1本生えている――その先端は、深海生物めいた口だ。
ボスは重々しく足を踏み出し、火炎の渦を放つ。
同じ炎を得意とする暁には効果が薄く、階位で上に立つ道隆には効果がまるでない。
杏子は息子の外套で護られ、道隆がつけていた魔物が亮典を炎から守る。
周囲に散らばっている異能者の死体が、見る間に黒焦げていく。
「てめぇ~ら!味なマネしやがってぇ――!!」
炎の海と化したショッピングセンター前で、下品な熊もどきが喚く。
暁が変化した巨獣が接近し、爪を振るう。ボスも負けじと応戦。
両者の筋力は拮抗しており、あたりに重機が衝突したような音が、断続的に響く。
不意に、ボスの首が伸びる。
空中でとぐろを巻く触手に、牧野親子の下に向かう道隆は冷気をお見舞いした。
ボスは甲高い悲鳴を上げて攻める手を止め、長い首に熱を当てる。
「おい、手ェ出すなよ!!」
「ゴメンゴメン!こっちは儂らが見てるから、そっち集中してろ!」
肉の焼ける臭いの中、暁は外皮の鎧をパージした。
痩身の羊頭獣が、暴風を纏って顕現する。暁は流星となって、ボスに突撃した。
道隆と競り合った際とは違う、音の速さで放たれるタックルだ。周囲の空間が震え、窓ガラスが割れる。
ボスは1秒間に数十回轢かれ、その度に少しづつ身体が削れていく。
右腕がちぎれ、腰の太さが半分になった頃、彼は左腕で暁にしがみついた。
「あははは…、捕まえたぁ!」
トリモチを思わせる粘り気に絡み取られ、2人は一体となった。
暁は振り切ろうと身を捩るが、動かない。巨獣の筋力よりも、ボスの粘着力の方が上なのだ。
「あの、ショウを助けて――」
固唾をのんで見守る亮典は、傍らの道隆に声を掛ける。
道隆は亮典が言い切る前に、ボスを凍結させた。小走りで粘着した2人に近づき、暁を熊もどきから引っぺがす。
暁は男の目で見ても中々可愛い顔をしており、攻撃されたとはいえ、怨みと呼べるほどの感情は無い。
(助けるのも、やぶさかじゃない)
貸しを作ると思えば、そう捨てた連中でもないだろう。
力づくで剥がした為、巨獣の皮膚が一部剥がれたが、すぐに再生した。
「生きてるか?生きてるなら」
「なんで助けたんだよ…!」
「友達の、あのー、彼が頼んだからさ」
不満を垂れる暁を片手で持ち上げ、道隆は跳ぶ。
牧野親子の前に降り立った彼の下に、亮典が近づいてくる。
亮典が巨獣に紅玉の長剣を当てると、刀身から眩い光が放たれた。
ありがとうございました。