双少年との出会い(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
ショートカットの右手に、紅玉の長剣が出現する。
しかし、剣を振るうより先に、青い魔人が彼の首を掴む。
立ち上がった巨獣が、若い声で怒鳴った。
「リョウ!この野郎…」
「よーし、動くな。変身を――」
巨獣が変化した。
外皮が弾け飛び、四足獣は見違えるほど細身になる。
艦首のように尖った頭部が、青い怪人目がけて突撃する。道隆はビックリして、思わず手を離した。
人質を離し、ちょこまかと逃げる道隆を巨獣が嘲る。
「ビビってんじゃねぇぞ、雑魚が!」
周囲を白いもやが包む。
刹那、川が凍り付いた。ショートカットの皮膚に霜が降り、寒気が気管に入り込む。
彼は凍えながら、何か言いかけた女を抑え込み、能力を発動する。
「リョウ!?ぶっ殺す――!!」
巨獣の声が、空間を震わせる。
鼓膜が破れそうな大音量に眩みつつも、道隆は羊頭から視線をそらさない。
「ふー…。変身を解け、そうしたらソイツ助けてやる」
巨獣の姿が白い燐光の中に消える。
代わりに現れたのは、小柄な少年。肩まで伸ばした金髪で幾つもツノを作り、不良っぽい出で立ちだ。
鋭い目で睨む彼は、道隆が冷気を収めるより早くショートカットの下に向かう。
「リョウ」
「…亮典!」
変身した道隆が近づくと、女がギョッとしたように身を引く。
目を閉じたショートカットの呼吸は遅く、触った身体は固い。
コート姿の女は一般人らしいが、病んだ様子はない。
年齢はざっと見た所、30半ば。道隆は、彼女と2人の少年との接点を見いだせなかった。
少年が会得した能力である外套を着させていた事で、彼女は冷気の影響を受けなかったのだ。
(低体温症…てやつか?)
素人の知識で道隆は推測するが、自信は無い。
低体温症の診察など初めてだが、少し懐かしい気持ちになる。
白銀の街を彷徨っていた時は、自分もこんな状態だっただろうか?
道隆は中学生の頃、遭難した事がある。
同人ショップに自転車で向かっていたが、土地勘の無さから見当違いの方に進み、30時間ほど街をうろついていた。
折り悪く、半世紀ぶりの大寒波が名古屋を襲来。家族は死を覚悟したそうだ。
当時は見かけた自動車の営業所や、カメラ屋で暖をとった。そして夜勤のコンビニで一泊した。
(あの兄ちゃん、警察に知らせてくれりゃあ、良かったのにな…)
道隆は意識を現在に戻し、寒気を引っ込める。
川の凍結が解け、周囲の気温が上昇。道隆は震える少年の身体を癒すように、精神力を放射する。
まもなく、ショートカットは目を開けた。
ありがとうございました。