第4層、地下3階(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
箱の中にあったのは、朱色に燃える爬虫類の像。
源が手を突っ込むと頭を上げ、滑るように右手首に取り付く。
炎を纏っているが、熱さは感じない。実物の火ではなく、映像のようだ。
外そうとするも、指が掛からない。まもなく像が薄れ、トカゲの姿が消えた。
「あぁ、消えた!何やってんだよ!?」
「何もやってないぞ」
手首に巻き付いた爬虫類が、再度出現する。
俊樹がナイフで剥がそうとすると、源は腕を引いた。取り外そうと考えているのは分かるが、無礼すぎる。
「何するんだいきなり!」
「いやだって、それ持っていく気?」
「しょうがないだろ…、欲しいのか?」
源は腕のトカゲを見つめる。
目の前で炎が両手まで燃え広がった時、彼の耳に複数の足音が入り込んだ。
すぐに全員が気付き、音の方向を振り向く。左手の出入口から、甲冑姿の剣士が4名やってくる。
軽快に走ってくるが、異能者ほど早くない。源は6名を背後に下がらせ、鉄球を投げつけた。
「なんだこりゃ…」
掌から離れた瞬間、鉄球が炎に包まれる。
燃えるフレイルが3体の剣士を捉え、通路の奥に吹き飛ばした。
炙られた甲冑は瞬く間に黒焦げ、融けるように崩壊していく。
逃れた1体が猪頭の身体を回り込み、長剣を振り上げる。
それを周哉のジャマダハルが凌ぐ。のけぞり倒れた鎧に、割れる前のガラスのように罅が走る。
「固ってェ…」
「隙間を狙わなきゃ、駄目だって」
源が寝転んだ兜を踏みつぶす。
戦闘が終わり、俊樹が猪頭に近づく。彼は腕輪と化したトカゲと、燃える両手に興味を持っていた。
「触ってもいい?」
「いいけど、責任は持たないぞ」
俊樹はトカゲを撫でるが、リアクションは無い。
徐々に姿が薄くなり、再び消えた。源は我知らず腕をさする。
俊樹が入口からみて右手から、宝の気配があると全員に伝えると、まずそちらに向かう事になった。
通路の突き当りに部屋があり、同じように石の箱が置かれている。
俊樹が真っ先に近づき、納められていた器物を取り上げる。濃さの違う緑を集めたような深みのある色の楔だ。
「どうやって使うのかな…」
「さぁ?」
俊樹が意識を向けると、それに反応するように楔が発光する。
しばらくじっと見ていると、光は弱まり、やがて消えた。俊樹は楔を懐にしまう。
探索班から不満の声が上がり、俊樹は慌てた様子で答える。
「次のお宝はみんなで分けていいからさ、ダンジョン出るまで預かっとくだけだから……だめ?」
6名は一応納得して、部屋を後にする。その直前、紗莉が部屋の隅に咲いていた紫色の草を摘んだ。
ありがとうございました。