第4層、地下3階(1)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
探索班は一路、大須に向かった。
街の中でも復興が特に進んでいる地域であり、戦後の闇市を思わせるバラック街が形成されている。
あばら家群の中に、三、四軒似つかわしくない立派な建物があった。破壊を免れたものか、異能者が建てたものか。
――不吉な羽ばたき音が、7名の耳に飛び込む。
振り返ると、緑色の影が空の彼方から近付いてくるところだった。
戦闘機を思わせる、有翼の巨大な爬虫類――ドラゴンだ。3匹のうち、1匹が急降下し、街に向かって火炎流を吐き出す。
ぞろぞろと外に出てきた異能者が防御壁を張るも、その隙間から熱波が侵入する。
あちこちで火の手が上がるが、変身した源が直ちに消火。
彼は冷気を空に向かって放つ。炎と氷が衝突し、水蒸気が街に立ち込めた。
環希が小箱を取り出す。
白い指が蓋を持ち上げた瞬間、黒鉄の槍兵が飛び出した。
紗莉もつられるように、雷神を呼び出す。7名が白い壁の平屋――薬屋の扉を開けるのは、ドラゴンの掃討が済んだ後だった。
扉の向こうは、全体的に古臭い印象だった。
カウンターは木製。天板の下はショーケースになっており、薬入りの小箱が整然と収まっている。
その後ろにはレトロな百味箪笥と、擦りガラスの嵌った引き戸。
カウンターは番台のような造りになっており、店主は戸の開いた音に気づくと、がばりと身を起こした。
「いらっしゃい!何をお探し?」
「回復…傷薬とかありませんか?」
周哉が尋ねると、店主は箱や瓶入りの薬品をカウンターに並べていく。
並べられるだけ並べると、右手から順に薬効を説明していく。
傷口に塗布する事で治癒力を発揮する薬、飲む事で自己回復を促進する薬、回復力も様々だ。
「あの…これ、全部作ったんですか?」
「いやいや!俺じゃなくて、この店が作ったものだよ。信用できるかっていると疑問だけど、街の相場より安くしてるから買ってく人はいるし、最近はリピーターも増えてきた」
店主は陽気に笑った。
探索班は止血に使える傷薬、下痢や腹痛を癒す錠剤、肺病全般を癒す吸入薬、そして代替肢なるオブジェを購入した。
これは壊死などで切除した手足の傷口に接合する事で、部位復元を行う異常な道具である。桁外れの効果の分、価格設定もかなりのものだ。
中々の出費になったが、油断は禁物。異能者の全容含めて、周哉達は超常の全てを把握していない。
探索班は日を改めてから、迷宮の地下に転移した。
地下2階の探索は済み、今日から3階に入る。
真っすぐ進み、大振りの肉切り包丁を躱す。汚れたエプロンをつけた大男を、変身した源が殴り飛ばす。
そのまま戦闘メンバーは、流れに乗るように奥の部屋に雪崩れ込む。
大男は見た目に反して、動きは敏捷。
俊樹は2本の短刀で包丁を受け止める。2撃目を繰り出すべく振りかぶった所に、源の鉄球が飛来した。
地面に靄がたち、直後に大男が氷像に変わる。凍り付いた大男の胸に猪頭が右足を突き入れた所で、探索班は勝利を確信した。
俊樹がナイフを軽く握ったまま、棒立ちになる。周囲にある宝物の気配を探っているのだ。右を示す彼に導かれ、7名は一つの部屋に入った。
「ベタだなー…こういうのもあるんだ」
「宝箱…で、いいんだよな?」
殺風景な部屋の奥に、石棺を思わせる巨大な箱が備えられている。
箱は現代の工具で削ったように精密な四角。源が変身したまま、指でそっと触れた。
天板は蓋になっているらしく、壁に向いた面に蝶番が付いている。上に押し上げれば開きそうだ。
「開けるぞ?」
「お、ぉぉ…ちょっと待って!」
源を除く6名が、慌てて後退する。
苛立ちを覚えたが、そもそも友情や絆で結ばれた仲ではない。
もう少し仲間意識があってもいいと思ったが、源は口には出さず、蓋を押し上げる。
蓋を垂直まで押し上げ、手を離す。石の天板は勢いよく倒れ、壁に当たって止まった。
6名が恐々としながら、源の背中から箱の中を覗く。
ありがとうございました。