天使の位階(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
修児は休憩する事にした。手術衣を脱ぎ、喫茶室に向かう。
販売機でモンブランとカスタードベリーパイ、ストレートティーを注文する。
指紋認証を済ませ、適当な席で甘味に舌鼓を打つ。ベリーパイを噛む度に、爽やかな甘さと切ない酸味が修児を撫でる。
モンブランを一口食べると、栗の旨味が口いっぱいに広がった。幸せな一時を過ごしていると、夏姫がやってきた。
「調子はどう」
夏姫は注文を手早く済ませ、向かいの席に座った。修児とは高校からの友人だ。
「天使を調べてるんでしょ?」
「あぁ、幾つか分かった事がある」
へぇ、と言いながら、夏姫はメロンサンデーにスプーンを運ぶ。
赤肉メロンソースとソフトクリーム、カットメロンがたっぷり盛られたシンプルな品だ。
「まず、奴らに生殖機能は無い」
消化器も人間に比べると貧弱なのだが、口にする場面ではないだろう。
「それからあの騎士は食事をしないし、喋りもしない。人型も怪しいが、騎士の方が顕著だ。気道や食道、胃や肝臓が無くなっている」
「そうなんだ。あれも天使なんだよね?」
「多分な。血液組成は同じだ、親戚だろう」
修児はカップを持ち上げる。喉を潤し、ソーサーに優しく置く。
現時点で判明した事を説明するが、夏姫は淡々と相槌を打つだけだ。時折質問を返してくるが、喋っていても気分が盛り上がらない。
「天使はどこから来たんだと思う?」
「神に遣われたんじゃないか。ソドムの街を滅ぼしに来たんだ」
「聖書の?医者が言う事じゃないと思うんだけど」
もう廃業した、と修児は言った。
彼が異能者に変化したのは、赤十字病院の呼吸器内科に勤めていた時。
秘密基地に初めて足を踏み入れた際、彼は子供の頃の夢を思い出した。修児は悪の秘密結社の、怪人を製造する博士に憧れていたのだ。
自分もあのように、強くてカッコいいモンスターを生み出してみたい。
覚醒してからは街に広がる異常を見守りつつ、修児は日々の業務に勤しむ。そして夏の大異変が起こった。
街が現在のように変化してからは、勤務先に顔を出していない。
蟷螂を思わせる怪物に乗っ取られ、多くの同僚が亡くなった。仇を討つ気にはない。
「それで、有効な倒し方は見つかったの?」
「一撃必殺…てのは分からないな。炎の発生器官もそれらしいのは見当たらない。恐らく脳を潰せばいいんだと思うが、確実じゃない」
また何かわかったら知らせて、と言い残して、夏姫は喫茶室を出ていく。
有効な倒し方と言われても、現状そんなものが必要とは思えない。殺傷力に優れたものが1体あたり3名以上で囲めば、対処できるだろう。
解体はこのあたりで止めにして、生体実験に移ろう。修児は食べたプレートを返し、実験室に戻った。
ありがとうございました。