水底の迷宮(3)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
待ち構える道隆の前に、痩身の人型が姿を現す。
灰色のトゥニカの上に、臙脂色の外套を羽織っている。
フードを被った頭部からはブドウの房のように無数の球体がはみ出ており、その面相は窺えない。
ボディーラインが出ていない為、性別も分からない。
法衣は右手の杵を振り上げたまま、甲高い叫び声を上げて、道隆に迫る。
拳から放つ破壊が、走る人型を吹き飛ばす。
立ち上がり、速度を上げて迫る法衣が通った跡に、赤い染みが出来ている。
無傷ではないのだ。人型――隠遁者ヤガーは杵を地面に突き立て、ぶつぶつと文言を不快な調子で垂れ流す。
間合いを詰めた道隆が蹴りを入れるが、声は止まない。
まもなく、巨大な鶏の足が頭上から降ってきた。追尾機能は無いらしいが、一撃ごとに地面に足跡が生まれていく。
ヤガーが振るう杵を道隆が防ぐ。
技量は感じられないが勢いがかなり激しく、青い鉄仮面は滅多殴りにされる。
打たれる度に痛みが走るが、打撲には至らない。
逆に音速の鉄拳を浴び、弾かれたように飛んでいく有様だ。
立ち上がった法衣の杵を避け、拳や肘で打つ。
その右手を掴み、脇腹を腕でめった刺しにする。
ヤガーは左手で得物を振るい、道隆の頭部を殴った。
指が離れた隙にヤガーは間合いを取り、悪霊を弾丸のように放つ。
ほぼ同時に道隆は手刀を垂直に降るい、斬撃を飛ばす。
法衣が裂け、血液が背中側に吹き出す。
続けて、道隆は杭を8本並べて発射した。
衝撃が岩窟の広間を揺るがし、舞い上がった瓦礫が頭上から降り注ぐ。
舞い上がる土煙の中、ヤガーの気配が萎んでいき、まもなく消失した。
空間が揺らぎ、景色に罅が入る。
亀裂は見る間に大きさを増していき、探索する余裕はないだろう。
背後から吐息が聞こえる。
(囚人たちが出てきたか…)
振り返ろうとして――止めた。気付かないふりして無視しよう。
道隆は崩れつつある異界から、名古屋の若水交差点に移動する。
ほぼ同時に、囚人たちが千種スポーツセンター側の新池が浮き上がってきた。
彼らは破壊されたセンターを調べていた異能者達によって保護されると、法衣姿の異形と夜色の魔人について語った。
ありがとうございます。