水底の迷宮(1)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
道隆は身体の湿りで、現実を取り戻す。
見回すと、左右には枝が無数に絡み、重なったような壁。
彼は人工物らしからぬ、回廊の中に座っていた。
尻を上げると、水面に波紋が立つ。膝下およそ20㎝まで、水に浸かっている。
道隆は感知網を広げた。
平素と比べて、範囲がかなり狭い。
感知網は水平に広がっており、頭上や地中は全く感知できない。
気配は前方に7つ、背後に2つ。後方のさらに奥、無数の気配が一つの部屋にいる。
道隆は左見右見してから、後ろに進んだ。
チームを募って探索する気は無いが、迷い込んだものをわざわざ逃げ出す気はない。
その程度には興味がある。
6分ほど歩いた時、2匹の巨大な犬が現れた。頭が道隆の、胸の位置にある。
右の一匹が、口を開けて飛び掛かった。
左に躱した道隆の頭部に、残りの一匹が噛みつく。
額と顎に牙が当たるも、甲殻を破るには至らない。
鋸のような刃の列に掌を添え、道隆は腕を上下に開いた。
脛に噛みついた一匹はひとまず無視して、掲げた一匹を投げ飛ばす。
脛に噛みついた犬の頭が貫かれた直後、宙を舞う犬が落下。
腕を引き抜くと同時に漿液が飛び散り、一匹は足元に倒れ込む。
投げた犬が空中から襲い掛かってくる。道隆は足を引き、戦闘態勢を取った。
直後、左腕の実体化が半端に解ける。
犬に意識を向けた瞬間、左腕が白毛の頭部を貫く。
液化した腕の先端は刃と化し、さながら薙刀のようになっている。
口腔を貫いた穂先を動かし、道隆は二匹目の首を落とす。
留めに蹴りを浴びせると、白犬は動きを止めた。残った死体を無視して、通路の奥に進んでいく。
下り勾配の道の先は、完全に水没していた。
道隆は意を決して、水面に身体を沈める。
十数分進むと、彼の周囲は完全に水浸しになった。
変身している道隆に、呼吸は必要ない。
通路は2つに分かれ、そのうちの一つは半径およそ50mの広間だ。
もう片方の道は、途中で消えている。
広間にはピラニアの群れが待ち構えており、道隆が入り込むと同時に襲い掛かってきた。
全身から雷電を放つと、肉食魚は力なく天井まで浮かび上がる。
魚達が動かない事を確かめ、道隆は部屋から出ていく。床に錆びた剣が落ちていたが、放置して進む。
引き返した道隆は、最初の地点までたどり着く。
先程とは逆に手前まで進む。5分ほど歩いた時、人影が視界に入った。
近づいていくと、容貌が明らかになる。向こうも気づいたらしい。
衣服を纏っていない、青白い肌の人型が5名。いずれも短剣で武装している。
走り寄ってくる彼ら目がけて、ジャブを放つ。拳の先から、不可視の破壊が撃ち出されていく。
ありがとうございました。