表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/152

鉄の騎士と復讐の拳(3)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 ギャング達が上名古屋に襲撃を掛けていた頃、道隆は足の向くままに歩いていた。

暇だからだ。年末の祭典まで、道隆は予定がない。

定まった職は無く、食うに困ってもいない。人材派遣ネットに顔を出す気も、今のところない。


(久しぶりに、行ったことのない場所まで行ってみようかな)


 インドアな道隆だが、旅行は好きだ。

といっても、資金も時間もないので、これまでは長旅に出かけることはできなかった。

結界を維持するために県外には出られないが、県内だけでも出かける先はたくさんあるだろう。


「お兄さーん、どっか行くのー?」

「……」


 媚びるような声に振り返ると、華奢な少年が近づいてくるところだった。

髪を耳に掛かるくらいに伸ばしており、目つきがやや鋭い。

夏に知り合った異能者の少年――前園浩紀まえぞのひろきは小狡そうな笑みを道隆に向けている。


 その傍らには、巌のような大男が佇んでいる。

電柱を思わせる太い腕に、筋肉が影を作る。

いつか見た、褐色のスポーツ少年とは違う人物だ。


「ねぇー?」

「あー…散歩だな」

「散歩!ジジイみてーだな!」


 浩紀はからりと笑った。


「そっちは何してんの」

「ボスからお呼び出し。一緒に行く?」


 僅かに間をおいて、道隆は肯いた。


「おし。じゃー、行こうぜ」


 二人は連れ立って、名古屋大学を目指した。

10mほど歩いた時、浩紀がごね始める。

道隆が「空間を無視する魔物」を召喚する。


「おぉー、いいじゃーん!乗せてくれんの?」

「あぁ」


 浩紀はキャラメル色のクラシックカーを見ると、上機嫌になった。

曲線で構成された車体が可愛らしい。運転席には暗い色の詰襟を来た、白い顔の男が座っている。

2人が乗り込む。浩紀の使い魔も乗車しようとするが、入り口が狭い。

車の横でああでもない、こうでもない、と言わんばかりに体を上下させる。


「上に乗せれば…」

「えー、走って来させるからいーよ」


 浩紀が言うと、大男は2人の前から走り去る。

道隆も己の使い魔に車を発進させるよう、命じた。




 20分ほどして、2人は名古屋大学の東山キャンパスにやってきた。

およそ70万平方メートルの広大な敷地を運営するのは職員達と、在学生が組織したコミュニティ「名大学生会」である。

各学部が使用している施設は研究のほか、怪異への対抗手段を模索するために使用され、12月現在、キャンパスは一個の街と化していた。

道隆らがやってきたのは、名大附属図書館。

7月以前から変わることなく、外部に開放されている施設である。


 館内の喫茶店。

グリーンを基調とした制服が、カウンターで若者達に応対している。

ここでは7月以前と同じ光景が展開されていた。

店を運営しているのは、名古屋大学と、喫茶店愛好家の集まり「人生を変える一杯」である。


 オープンテラス席には三人の若い女が座っていた。

手を振るショートヘアの女は、原田夏姫(はらだなつき

無愛想なロングヘアの女が、貴嶋早苗(きしまさなえ

黒髪にグリーンの瞳の、ハーフを思わせる少女が君原圭(きみはらけい


「あれ、全員集合?」

「違うけど、集まるのはこれで全員。早苗?」


 道隆達も注文を終えると、近くの席に腰を下ろした。

周囲には、5人を遠巻きに眺める者がちらほら見受けられる。

分かる人間には分かる。全員が異能者であることを。

学校の関係者は良からぬ相談をしているのではないか、と気が気でない。


「気になる?」

「え、あぁ…動物園の動物みたいだなって」

「…確かにそんな感じね。この状況」


 尋ねた早苗だが、気にした様子はない。


「で、なんか用?」


 浩紀が口を開くと、夏姫が小声で説明を始める。道隆達は顔を寄せて聞く。

早苗が突き止めたところによると、港区で今夜、秘密の取引が行われるらしい。

彼女はやり取りされる品物に興味があり、現場に駆けつけたい。

場合によっては、品物を強奪することも在り得る。その協力を要請するため、浩紀にメッセージを送ったのだ。


 それを聞いた男2人のリアクションは薄い。

浩紀は危険そうなので、道隆の返事を聞いてから参加するか否か、決めようと思った。

仮に参加してもリスクの方が大きい様なら、4人を置いて逃げる事も視野に入れている。

道隆は即座に了承。日時と待ち合わせ場所を、早苗達に訊ねた。

好んで仕事を入れない限り、年末まで身体は空いている。


「乗り気だね。本当に参加するの?」

「ああ」


 戸惑ったような表情だった夏姫は、意外そうに道隆を見た。

自身の増長を自覚しつつ、道隆は肯く。


 動機は物欲と好奇心。

怪しい取引でやり取りされる品物、有用な道具かもしれない。

無駄足だったとしても、一つ思い出になる。


「前園君はどうする?」

「えー、じゃー俺も」


 浩紀は道隆をちらりと見てから、夏姫に言った。


「つーか、いいのかよ?こんなトコでこんな話してて」

「異能者に察知されたら、一大事でしょうね」

「おい」

「別に平気よ」


 不安がる浩紀とは対照的に、早苗は少し楽しそうだ。

口の端がうっすらと吊り上がっている。

話し合うべきは話し終わったので、その場はお開きとなった。

浩紀はキャンパス入口で待たせていた使い魔を伴って、自宅に帰る。

途中で別れた道隆は帰宅の後、夜に備えて一眠りした。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ