第4層、1階(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
6名が奥に進むと、部屋に行き当たった。
最初に入ったそれよりも大きく、8畳くらいはあるだろうか。
彼らが入ってきた入口から見て、右手の壁に大小様々な青く脈打つ石。
右手の壁で口をあけている出入口の更に奥、部屋の隅に水たまりがある。
そして部屋の中心、食卓テーブル並みの大きな青い蟹が身じろぎもせず横たわっていた。
「死んでる」
環希は物怖じすることなく近づき、殻をべたべたと触る。
探索班からは窺えないが、巨大カニの甲羅は三角形。
脚がかなり長く、一匹で部屋の中央をほとんど占領していた。
「名古屋に持っていきませんか?調べたら何か発見もあるかも知れません」
蟲井景之が言う。
「うん?おぉ、いいよ」
俊樹は兄に促されるまま、鞄からボトルシップを取り出す。
それを元来た出入口にそっと置くと、両手でカニの死体を持ち上げた。
景之と源が、運搬を手伝う。
「ンおッ!結構重ッ…」
俊樹は足をじりじりと動かし、瓶の口に向かう。
彼は近づくと空間がひずみ、カニもろとも小さな瓶の中へ吸い込まれる。
「ここは、ボトルシップの中ですか…」
「そーそー、こうしてみると迫力あるでしょ」
俊樹が手ずから組み上げた帆船は、異能者に変化すると同時に実物―図鑑でしか見た事ないが―同様の代物に変じたのだ。
死体は船内への入口よりずっと大きく、解体しない限り通らないだろう。
折角の作品を体液で汚したくない。途方に暮れた彼は、青いカニを甲板上に置いておく事にする。
俊樹が戻ると、探索班は更に奥へ進んだ。
右手の通路の行き止まりには部屋が一つあり、軽装の死体が一つ横たわっていた。
顔を見合わせる6名の中から、俊樹が一歩踏み出して傍に屈む。
骨が覗くほど腐乱した手には、大振りのナイフが一本握られている。
俊樹は指を難なく外し、刃渡りおよそ18㎝の短剣を手に入れた。
ナイフの刀身は二等辺三角形。
針を思わせる細い刃は、用途が刺突に特化している事を窺わせる。
握りの長さは刀身と同程度。柄頭は錐のように尖っており、扱いを間違えれば怪我をするのは使い手の方だ。
「うわ、それ持ってく気か?」
「まーね、けど鞘とか……無いな」
俊樹は針のようなナイフを握ったまま、5名に向かって歩く。
探索班が思わず身を引いた姿を見て、彼はボトルシップにナイフをしまいに行った。
俊樹が戻ると、彼ら瓶を拾い上げて部屋を出ていく。
入口の部屋まで引き返すと、成人なみの蛾が飛んできた。
咄嗟の事に反応が遅れた環希は、蛾人間に組み付かれる。
巨大な一対な翅を生やした人型は、炯炯と輝く赤い目で彼女を見下ろす。
源が変身して殴りかかると、怪物――モスマンは狙ったようなタイミングで環希から離れた。
数は一匹。恐れることは無い。
刺突剣を両手に周哉が斬りかかる。
跳び上がり、身体を捻る勢いで振り上げた刃が翅の先を落とす。
浮力を失ったモスマンに、猪頭に変身した源の鉄球が投擲される。
痩せた身体は天井に埋まり、源が鉄球を手元に引くと、脱力しきった巨大な蛾が落下した。
「死体が残るのって、結構キツイなー」
「あぁ、街とは違うのか…」
探索班は左の通路に進み、下に伸びる階段の前で立ち止まった。
彼らは部屋は壁を掘りピンク、薄青、緑の三色の石を、羽を広げたような形の花弁を持つ植物を採集。
しばし相談した後、一旦名古屋に帰還する事にした。
ありがとうございました。