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ゲルナーシュ

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 やや遠回りとなったが、大きなトラブル無くファーストコンタクトを終える事が出来た。

言語翻訳の能力を施されたことで、周哉達の言葉は彼らに届くよう変換された。

日本語は独特のしゃがれ声となって伝わっているだろう。

身振り手振りで半円頭――ゲルナーシュと意思疎通を取ることはできない。

表情や仕草に共通点があってこそ、コミュニケーションの手段として機能するのだ。


 ゲルナーシュ達は探索班に友好的な態度を示した。

つぶさに観察していた紗莉は、彼らが警戒を解いていないと感じた。

無論、人間らしい表情が存在しない顔から、内心を読み取れている自信は無い。


「ここの外に出たいのですが、どちらに行けばいいでしょうか?」

「柱を伝っていくか、地上に降りて真っすぐ進めば出られる」


 ゲルナーシュの声は抑揚が不自然で、周哉には彼らの感情を窺えない。

外見の差は乏しい。雌のほうが、雄の方が大きいのが特徴だった。

口調には若干の差があった。音域が高かったり、やたらと早口だったり。

彼らが好戦的でなかったのは、探索班にとって幸いだった。


 探索班は彼らにお礼を言って、住居を後にした。

集落を作る生き物なだけあって、ゲルナーシュは一定のマナーを備えていた。

しかし特徴的な形の頭部ゆえ、会釈について若干の説明を要したが。

彼らは樹木の足場から降りていく9名を、興味深そうに見送った…ように思われた。


「うごぇっ…ひぃ」


 四苦八苦しながら降りていく途中、紗莉が悲鳴を上げる。

8名は立ち止まり、周哉は彼女の視線の先に顔を向けた。

そこでは大型車両並みの体躯を持つ、芋虫が群れを作っていた。

野生ではない。木の柵に囲まれた6名ほどゲルナーシュが歩き回っている。


「飼育してる…って事?」

「もういいよ、行こうぜ」


 源が呼びかけると、菜々葉は身を引いた。

牧場で働いているゲルナーシュも探索班に気づいており、2名が立ち止まって眺めている。

残りの4名は気付いていないのか、気付いたうえで無視しているのか。


 探索班は地上に到着するまでに、7層は降りる事になった。

恋しくなりつつあった土の感触を味わいつつ、周哉は頭上を見上げる。

巨大な木の枝が幾重にも張り巡らされていたが、昼間と同程度の光が入ってきていた。

四方を見渡してみるが、方角の区別がついた者はいない。彼らは真っすぐに歩いていく。


 林立する岩壁の間を通り、探索班は二時間以上歩いた。

彼らは苔と岩の森を抜け、広々とした草原に出た。

地平では鋸刃のような峰が、空の端を侵している。

山と森の間に流れる川と並走して、小石を敷き詰めた歩道が左右に伸びる。


 川幅は狭い所でも50m。異能者の身体能力でも一跳びとはいかない。

源が変身して川岸に立つ。両掌から冷気を放出すると、水流があっという間に凍り付いた。

川は途中でカーブしており、周哉の視界に移る限りの水が、分厚い氷と化している。


「お、頭い~!」

「厚さも問題なさそうだな…さっさと渡っちまおう」


 探索班は忙しなく、氷の上を駆けていく。

9名が渡り終えて周哉が振り返った時、川はまだ足場の姿を保っていた。

彼らが森を目指して歩く中、人も獣を姿を見せる事はなかった。


「太陽が3つある…?」

「ホントだ」


 紗莉と奈々葉が話した時、周哉はようやく気付いたように顔を上げた。

空には赤・緑・青の太陽が輝いている。現在、空は毒々しい黄色で染まっていた。

赤と緑の太陽に比べ、青い太陽が心なしか小さい。

俊樹はこの世界の空は、3つの太陽の動きによって色を変えるのではないか?と考えた。


 9名は広葉樹林の前に辿り着く。

その時、周哉の頬を何かが掠めた。

源が飛んできたものをキャッチしており、確認するとそれは握りこぶし大の石。

石を見る男の頭に、再び投石が加えられた。まもなく、石が立て続けに飛んでくる。


「ちょ、痛ッ!」

「あれか~?木の上になんかいるぞ!」


 大きく広がった枝の上、猿のような生き物がこちらを見ていた。

全身毛で覆われた二足歩行。その顔は猿よりも人間に似ている。

皮膚の色は薄いが、顔の凹凸は少ない。眉には毛まで生えている。

彼らは大きな口を吊り上げて、ほら貝を鳴らしたような声を上げた。


「おい、戦う気か!?」

「話し合う気ないだろ、どうみても!」


 源は変身すると、森の類人猿に向かって行った。

彼らは猪頭の巨躯が走り寄ると、枝を伝って間合いを取る。

冷気に纏わりつかれ、皮膚が痛みだすが寒さに強いらしく、構わず投擲を再開しようとした。

そこに氷の刃が降り注ぐ。氷刃を続けざまに浴び、木の枝が音を立てて折れる。


 猿は27体居た。

源によって半分に減らされたが、彼らはまだ戦うつもりらしい。

森は縄張りなのか、よほど探索班に入ってきてほしくないようだ。


「ねぇ、金高さん…ひょっとしてココってあいつらの縄張りなんじゃない?」

「え、じゃあ引き返した方がいいのかな…?」

「そうは言っても、もう止まらないぜこれ」


 周哉が言うと、紗莉がきょろきょろと辺りを見回す。

彼女達以外は既に戦闘を始めている。

周哉が戦闘を止めるよう声を張り上げるが、聞く者はいなかった。

ゲルナーシュの場合、相手側の態度に感じられたことが大きい。

猿達が何を考えていたのかは知らないが、27体は判断を間違えた為に全滅する事になった。


ありがとうございました。

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