四者会談――千種区
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
3人が息を呑んだ様子で、道隆を見つめる。
「貴方の能力?」
「そう。区切られた空間内で、色々な恩恵を受ける能力」
「それで愛知県を支配下に置いたわけ」
浩紀が驚いたように目を瞠った。
道隆は素知らぬ顔で、眉を寄せる。
「浜松で殺戮を行っていた青い怪物。念視していたのだけど、愛知県に入った時点で追えなくなったの」
「……」
「封鎖の内部に力を垂れ流している何者かがいるのは、異能者ならわかる。貴方じゃない?」
道隆は瞬きを三度行う。
「知らん」
「本当?しらばっくれると長引くわよ?」
そう言われると、道隆も参る。
今日から早苗達に監視されるなどとなったら、伸び伸びと暮らしていけない。
わざわざこんな廃墟のような街に残った意味がなくなる。
「わかった。そうだ、妖気の拡大を阻止したのは儂だ」
その場の感情に任せて、道隆は打ち明けた。
「マジ?」
「儂が変身する青いヤツの能力が結界を作る事だ。指定した空間を支配する」
浩紀が唖然とした顔で、道隆を見つめる。
夏姫も驚いた様子だが、早苗は目線を僅かに動かしただけだ。
(父上、そこまで言っては…)
(大丈夫だろ。今はお前が支配しているから、変身をどうにかされてもこの結界は維持できる)
早苗が口を開く。
「なぜ、そんな事を?」
「家族を守るためだ。儂はともかく、皆一般人だからな。化け物が四六時中うろついて、電気にも困る場所でなんか暮らせないだろ」
「貴方が保護すればいいじゃない。そんな回りくどい事をする必要ある?」
早苗に尋ねられた道隆は、答えに窮した。
「…素直に考えると、家族と暮らしたくないとか?」
「え、家族と仲悪いの?キリさん」
2人に続けて問われた道隆は、曖昧に返答する。
家族と暮らすという事は、身を寄せ合って生活するという事――つまり働かなくてはならない。
この街にいる間は、一日寝て過ごしても文句を言われない。
しかし家族を呼び寄せたなら、彼らの安全の為に骨を折ることになるだろう。
「いやー…働かなくていいじゃん、ここに居れば」
道隆は場が凍り付いたように思った。
唯一、表情が変化しなかったのは早苗のみ。
浩紀は呆れたように口を開け、夏姫の目がやや険しくなる。
「…働きたくないなら、何故わざわざ浜松に?」
「だって、ニュースになっただろ?あれ見て調べに行ったら、人間に化けた怪物がいるからさ。全滅させる事にした」
「周囲に随分と被害が出していたけど、それについて何も思わないの?」
道隆は面倒臭くなってきた。
彼は嘘を吐くのが嫌いだ。
一つの嘘をごまかす為に別の嘘を吐かなければならないという点もあるが、他人にへつらう我が身が情けなくて嫌なのだ。
「顔も見たことの無い連中の生命なんてどうでもいい。1人死ぬのも、1万人死ぬのも同じことだ」
「家族に迷惑が掛かるとは考えないの?付き合いのある人が犠牲になったかも」
貴方が殺した、と早苗は言わなかった。
「静岡に親戚は住んでないが――ま、やっちゃったものはしょうがない」
道隆はあっけらかんと言い放つ。
浩紀は驚いたようだ。夏姫も唖然としたが、顔には出さなかった。
早苗に至っては、予想通りでつまらないといった風にしている。
あれほど周囲の被害に無頓着な人物なのだ。博愛や慈善とは縁のない人格の持ち主だろうと思っていた。
食人者について明かす事はしない。
浩紀にはそういった部分について明かしていない為だ。
「前にさ、俺の住んでるトコに来てくれたじゃん。何で?」
「知り合いだからな。付き合いのあるヤツが襲われてるの放っておいてさ、大丈夫かなーって思いつつ寝るとか出来ないし」
「ふーん、…ありがと」
浩紀はおざなりに礼を言った。
道隆も同じように返す。少年の態度に誠意はあまり感じられなかったが、軽く流した。
非難でもされない限り、反応するに値しない。
まもなく、会談は終了した。
3人を玄関まで見送り扉を閉めた直後、道隆は盛大に溜息を吐く。
荷物をまとめて、魔物を配置しよう。それと並行して、聖域の強度も高めたい。
引っ越してしまえばいいのだが、この猛暑の中外に出たくない。
ありがとうございました。