四者会談――熱田区/千種区
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムなし。
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
会談の内容はその日のうちに、ミュータント達に伝えられた。
彼らの外の住人に対する反発は根強く、期限までにミュータント達を翻意させる事は出来なかった。
蔵人達がそれによってペナルティを千晃に課す事は無く、壁の建設は予定通り行われた。
ミュータント達を刺激しないよう、神宮前一帯からおよそ20m圏には手を付けない。
3コミュニティの作業員が撤収した頃、ミュータント達は構築作業を始める。
午後1時、作業する彼らの元に、天使は姿を現さなかった。
天使達は異能者を最優先で狙う為、たった2人しかいない千晃のコミュニティは優先度が低いのだ。
その為、昼間の紘や蔵人たちと違い、少年少女の群れによる妨害を受けることは無かった。
★
浩紀は早苗らと共に、若水交差点から北に向かって歩いていた。
先日の襲撃から1週間経った。翌日に道隆の住居を探してみた所、その気配が杳として掴めない。
その為、捕らえた動物を改造して近辺を捜索させたのだ。
とはいえ、道隆にも結界がある。動物達は彼の住宅に近づくと、目標を見失ってしまうのだ。
コントロールを失う位置。道隆の居場所は、おそらくその内側にある。
それらを話した所、早苗がいたく興味を示し、浩紀は2人と彼の自宅を目指す事になった。
この3名の内、感知範囲が最も広いのは夏姫。
彼女は道隆の気配を探るが、ぼんやりとしか辿れない。
3人は喪失位置に着くと、目視による捜索に切り替えた。
(父上…)
(分かってるよ、早苗達だろう?)
一方、道隆は早苗達の気配を感知する事が出来た。
見知った妖気の塊が近辺を何度も往復している事から、自分を捜索しているらしいと推測する。
(なんで探してるんだろう?)
(浩紀に関しては、父上が2度助けに行ったので、お礼でも言いたいのでは?)
(嘘だろ!!…やっぱり顔見せたのは、不味かったかな)
道隆はアイスを食べながら、思案する。
このまま潜んでいるか、姿を現すべきか。
彼は知らん振りを決め込む事にした。
その時、道隆は周囲に微細な気配を感じ取った。
圏内ではかなりの数の妖気が蠢いており、道隆は悲鳴を上げる側頭部をさする。
妖気は周囲の路地を縫うように走る。浩紀の使い魔だ。
人海戦術の要領で放たれた小動物達は、距離が近いからか道隆の隠蔽力を跳ねのけて捜索に勤しむ。
それからおよそ40分過ぎた時、ベランダにカラスが止まる。
まもなく猫や犬がマンションを取り囲み、やがて道隆の部屋のインターホンが鳴った。
カメラを確認すると、見覚えのある顔が3つ並んでいる。
(年貢の納め時か…)
(うるせぇ。しょうがないなー)
道隆は寝巻からシャツとジーパンに着替える。
チェーン――意味があるかどうかは不明だが、安心感はある――を外し、鍵を開ける。
「こんにちは。上がってもいい?」
早苗が事務的な調子で尋ねる。
道隆は3名を玄関から招き入れる。リビングに通された浩紀が驚いた様な声を上げた。
「ヒーター入ってる!!え、すげぇ!」
「本当。ここだけ昔の名古屋だね」
早苗だけは目立った反応を見せなかった。
もっとも、初めて足を踏み入れた家の内装には興味を持っているらしい。
道隆は表情にこそ出していないが、内心気が気でなかった。
客を上げるなど、小学生以来。しかも、今回は自分で応対しなくてはならない。
麦茶を注いだコップを4人分、机に並べる。
講習でお茶汲みを習った道隆だったが、その記憶は遥か奥底。
3人から特に突っ込みが入ることは無く、道隆は無言で空いている席に着く。
「冷たい!その冷蔵庫、動いてるんだ?」
「あぁ」
「ピッチャーから注いでたけど、水が使えるの?」
「水も電気も、ガスも使える」
ありがとうございました。