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第3層――苔の縦穴(2)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 探索班は横穴に足を踏み入れる。

トンネルは途中から上に向かって傾斜しており、彼らは登攀を余儀なくされた。

照明代わりの蛇達も、紗莉に付き添って水中からトンネルに上がる。

延々と続くかに思われた回廊を進むうち、9名は光の差す巨大な足場に辿り着く。

足場は大人20人が並んで歩けそうなほど広いが、道は奥で枝別れして細くなっている。


「うゥわッ!」

「アブね!」


 足を滑らせた周哉は転がり掛けたが、しゃがんでこらえる。

足元が緩やかに傾斜しており、気を付けていないと滑り落ちてしまいそうだ。

壁と地面の材質は異なっているらしく、足場は岩を突き破るように伸びている。

振り返ると、苔の生えた岩肌に黒々とした穴が開いていた。


 周哉は四つん這いになりながら、奥を目指す。

稲妻のように何度も折れ曲がった細い道には、突起が幾つも生えていた。

その隣に海パン姿の俊樹が、抜き足差し足近づいてくる。


「なんだあれ?」

「……木の枝に見えるけど」

「木の枝だ」


 源の呟きに、二人は思わず振り返った。

猪頭の怪人はその場にしゃがみ、足場に生えた緑を触っている。

周哉は足場に這うようにしがみつくと、そろそろと顔を乗り出す。

足場が複雑に入り組んでおり、その場から底を見通す事はできない。

そして、源の言うとおり、この足場が木の幹であることが周哉にも理解できた。


 探索班は今、途方もなく巨大な木の枝の上にいる。

巨大な岩壁に木の根のような物体が巻き付き、そこから道路のような枝が伸びている。

それが足場として機能しているのだ。

天を仰いだ周哉の視界には、やはり足場。

木漏れ日のような光が差しており、頂点まで登れば周囲の様子を把握できるのではないか。


「どうする?このまま進むか?」

「ムリだろ…一旦、帰ろうぜ」


 探索班の相談を、俊樹の悲鳴が中断させた。

足場から滑り落ちていくと共に、声が徐々に遠くなっていく。

固まった7名を横目に、変身したままの源が飛び降りる。


「ビックリしたー…あのまま死ぬかと」

「!」


 源が飛び降りて20秒経った時、俊樹が7名の前に姿を現す。

彼は落下の最中、別空間を行き来する能力で名古屋に帰り、改めて第3層にやってきたのだ。

周哉が口を開いた直後、轟音が響き渡る。


「これ、さっきの人が落ちたんじゃ……」

「え?」



 源は100mほど下に横たわる、足場に着地した。

よくよく考えてみれば、ダンジョン内で異能者を助ける必要はあまりない。

苦笑する怪人は、ふと足場に目をやった。

足場が平らになっており、フローリングの床を思わせる。

顔を上げ、誰も降りてこないと見ると、源は探索を再開した。


 200mほど歩いただろうか、通路の奥に簡素な小屋らしきものが複数見える。

並んでいる建物には、壁を切り抜いただけの窓や玄関も備えられ、源がそのうちの一つに近づくと住人と思しき生物が顔を出した。

半円型の頭部に、蟹のような突き出た目を持つ二足歩行。まもなく、他の建物からも次々と住人が顔を出す。

10名の人型が、変身したままの源を見つめる。彼らは危害を加える兆しを見せず、ただ遠巻きに猪頭を眺めるだけだ。


「あー…、こんにちは」


 源が声を掛けると、10の半円頭が顔を合わせる。

皿のような頭部が持ち上がり、しゃがれ声の合唱が始まった。

口から放たれる音には規則性が見いだされ、半円頭どもの言語らしい。

彼らの視線は切れ目なく注がれ、迷う源は立ったまま動けなくなった。


――この場から去るのは、ヤバいよな…。


 ファーストコンタクトは大事だ。

言語翻訳を得意とする異能者を連れてくるべきなのだろうが、その為に要らぬ警戒を呼び起こしたくない。

しばらくすると、群れの中から一人が歩み出てきた。

とんずらの機会は、逸してしまったらしい。

彼は交渉を試みている風だったが、源には話している内容が分からない。


 15分ほど気まずい時間を過ごした時、頭上から探索班のメンバーが降りてきた。

皆私服になっている事から、着替えていたようだ。

それを見た源は思わず口元を綻ばせ、先住民達は警戒したように肩を怒らせる。

両手から爪が振り出し、足の鉤爪に緊張を漲らせて空からやってきた8名を見据える。


 源は変身を解き、探索班の元に駆け寄る。

半円頭の住人達は驚いたような仕草を取るが、攻撃を仕掛ける様子はない。

事情を説明された8名は、今後の対応を簡単に決める。

3名が名古屋に帰り、言語翻訳の異能者を連れてくる。

半数はこの場に留まり、それを待つ。危害を加えてくるなら撤退し、意思疎通が取れそうならコミュニケーションを試みる。


ありがとうございました。

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