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天使が来る(2)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 道隆は女性を背負うと、異空間から脱出した。

依頼主が暮らすコミュニティで身元を確認すると、同じ集落の住人である事が分かった。

道隆は女性を引き渡し、報酬を受け取る。

顔を隠した状態で足を踏み入れた時、住人達がひどく警戒したため、顔の部分のみ硬化を解くことになった。

一人連れ戻っただけで10000円。素晴らしい。





 道隆が報酬を受け取って帰宅する頃、2人組の異能者が嗤っていた。

彼らは羽振りの良さそうな3人の男女を襲撃し、現在儲けを分け合っている所だった。

異能者の男が一人いたが、彼さえ始末すればこちらのもの、

そこから先は、お楽しみの時間。嬲り、傷つけ、踏みにじる。


――その時、2人のすぐ側に不思議な気配が顕れる。


 気配の質は、怪物の発する妖気ほど不快ではない。

抹香をイメージさせる、欲や獣性を感じさせない静かな気配。

2人組が顔を向けると、そこには煙を発しない炎があった。

まもなく、炎の中から、男とも女ともつかない姿が歩み出る。


 2人組は警戒し、己の武器を取り出す。

現れた人物は左右対称の整った顔に、薄い憐憫を浮かべた。

人形のような者は人差し指と中指をピンと伸ばし、2人組に向ける。

異形の剣と猟銃が威力を発揮する直前、チンピラ達の予想だにしない事態が起こる。


 2人組の全身から、剣や銃身が突き出たのだ。

それは内側から現れたというより、肉体が変化したように見受けられた。

不自然なウニか、ハリネズミのようになった男達は、グロテスクな工芸品としてその場に佇む。

男とも女ともつかない姿は、傷だらけの男女に一度目を向ける。

癒す事も傷つける事もせず、背を向けると輝く翼を広げて飛び去った。





 道隆は黒馬に乗って帰宅。

魔獣を召喚して運送を生業とする者が街にいる為、あまり不信を抱かれない。

市の中央卸売市場の側を通り抜けた際、瞬間移動を行い自宅に帰還。

夕方になり、道隆は不思議な気配を知覚した。

神域を思わせる静謐さ。鬱陶しい印象が無く、一般人ほど不快でない。


(異能者じゃない)

(浩紀の住む集落が襲われている。羽の生えた人間もどきが200はいる)

(またか……え、200?)


 道隆は慌てて、出かける準備を始める。

玄関から出るまでの間に考えるのは、何故自分は助けに行こうとしているのか。

あの一帯の住民が生きようが死のうが、どうでもいい。

浩紀には多少友誼を感じているが、身体を張るほどとは思えない。


 しかし、現在の名古屋において、道隆を助けてくれるのは己自身のみ。

窮地を助ければ、多少なりとも彼らから信頼を得る事はできるだろう。

無暗に力を振りかざし、敵を作るなど論外。


――いざって時、フォローしてくれるかもしれないし。


 自分一人で身の回りの問題に立ち向かえるほど、道隆は自立していない。

打たれ強く見えるのは他人の心情を酌まないだけで、むしろ幼く、繊細な心の持ち主だ。


 ゆえに、助けに向かう。

しかし浩紀が暮らす集落の連中に、干渉されると困る。

敵に回すのは嫌だが、味方と思われ、当てにされるのも同じくらい嫌だ。

顔は晒す事は控え、如何なる呼びかけも無視する事に決める。

心ここにあらずといった調子で、道隆は医療センター付近の住宅地に向かう。



 道隆は外部装甲の魔物を纏い、若水の路上に出現。

それと同時に、半径2~3㎞の感知圏を性別不詳の軍団が埋め尽くした。

周囲には怪物の気配は無く、あちこちで異能者と謎の群れの戦闘が行われているらしい。

道隆は最も近い、静かな妖気を目指して走り出す。


 千種区内にある工業大学を取り囲む街路。

しなやかな体躯の、天使としか呼びようがない2体の人型が若い男と争っている。

男はすぐ目の前の一戸建てに住んでいる異能者であり、気配を捉えて外に飛び出したのだ。

そして降下する生気の乏しい美形の群れと遭遇、直ちに戦闘に入った。


 天使は青白い火球を投擲する。

男の肌は夏らしい色をしており、短パンから覗く脛は逞しい。

火球の着弾点から飛びずさった時、首に掛かったネックレスが微かに音を立てた。

炎は炸裂するでもなく、路面にすり鉢めいた窪みを作って姿を消す。


 男の頬を汗が一筋伝う。

彼は2体の天使目がけて、異能を開帳する。

手には双剣を握っていたが、ここからでは勿論届かない。

ジャンプして斬りかかったなら、相手の炎で燃やされるだろう。


 天使の身体を、結晶体――ダイヤモンドの壁が覆う。

異能者は身を翻して、同様に戦っているであろう近在の人々の元を目指す。

ダイヤモンドは傷つきにくいが、簡単に割れる。

天使の殺傷力は未知数だが、長く拘束しておく事はできないはず。

つまり、単独戦闘は控えた方が良いのだ。


ありがとうございました。

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