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大迷宮はここに(2)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 爪を振るった雪男がうめき声をあげる。

その口から血液が零れ、白い毛を赤く染める。

開いた口腔からは、舌が無くなっていた。

これがジャマダハルの特性。斬りつけた対象の「舌」を落とすのだ。


 舌を切られ、狂乱するウェンディゴが不明瞭な呟きを発する。

直後、一帯の気温が下がり、雹と雪が嵐となって吹き荒れる。

冷気を呼んだ雪男を、牛頭の怪人が殴りつけた。

一撃で顔が陥没した雪男は吹き飛ばされ、轟音と共に壁に埋まった。


「雷光の双腕たけみかづち


 彼らの後方、紗莉が呟くと、篭手に包まれた両腕が出現する。

両腕は人間を掴めるほど大きく、白い獣人の1匹を厚い掌で抑えつけた。

獣人が赤い霧に変じた直後、広間に雷電が迸り、巨大な上半身が姿を現す。

それは2体の雪男に近づく。紗莉が声を掛けたことで、雪男を攻め立てていた3名が退いた。

剛拳を浴びせられた獣人の身体が、土煙をあげて床に沈む。




「ねぇ、さっきから何か呟いてたけど、あれ何?」

「あー、あれは……技名です」


 掃討が終わり、周哉は紗莉に声を掛ける。

全員が全員殺傷に長けることは無いにせよ、異能者が9人も集まれば戦闘は効率よく進められる。

技名、の発言を受けて、9名はそれぞれの反応を示す。


「へぇー、ちょっとカッコイイじゃん。ひょっとして威力が上がったりとかすんの?」

「多分。いや、調べた訳じゃないので、自信は無いですけど…」

「ふーん…」


 技名とは考えたことが無かった。

自分も凝った名前を考えてみようか、周哉は奥に進みながら思った。


 洞窟内の空気はやや湿っており、風もあまり感じられない。

精神エネルギーによって軽減されていなけらば、更に蒸し暑く不快だったろう。

起伏のある道は変化に乏しく、体感で下りと上がりを判別しなければならない。

道は無数に分かれたり、合流している。進んだ先が行き止まりになっている事も珍しくない。

9名の1人が目印に、5色の笠を持つ一握りほどの釘を壁に打っていく。


「ここ誰も入ったことないんかな」

「あったら分かるでしょ」


 9名は遭遇する怪物を掃討しつつ、洞窟内を探索する。

道中、様々な品が見つかった。

それらは鉄色の塊や成人男性並みの巨大な羽、人間らしからざる生物の骨など、人の手が加わっていない物体。

冒険している感じが出てきた、周哉は高揚を周囲に悟られないよう歩く。

まもなく、9名の前に開けた空間が現れた。




 第二の広間は高さ40~50mはあるだろう巨岩が迫り出し、奥に向かって登り勾配になっている。

階段や歩道など気の利いた物はやはり存在せず、昇るような足運びを強いられるのは確実。

照明代わりの蛇は、彼らの足元に留まる。壁まで進んだところで、この光量では9名のあたりまでは照らせない。

奥に進もうとした一同に、鉛の衣を着せられたような重圧がかかる。

重圧を感じた時、目の前に大きな魔物の姿が描かれ始めた。


 それは身長5mほどの、白い骸骨に似た姿。

いや、骨格そのままではなく、関節のつなぎ目や肋骨などがカルシウム質で覆われている。

巨大な骸骨は岩の上を軽やかに歩き、殺気を漲らせて近づいてきた。


「これボス?」

「子供みたいなこと言ってないで、撃て!」

「雷光の双腕たけみかづち…!」


 紗莉の命令を受け、古代戦士のような上半身が顕れる。

打ち下ろし気味に突き出された拳を、骸骨――カワンチャはバックステップで避ける。

矢のように駆けてゆく男に向かって、病魔の化身は胸のむかつく臭いの粒子を吐きつけた。

吐息を浴びた者の何人かが、煙たそうに咳込む。


 俊樹は短剣で骸骨を指す。

指だけで軽く握ったそれが独りでに動き、保有者に宝の気配を示す。

普段はダンジョンの探索などに活用しているが、これに反応する怪物は初めてだ。


――何か持っているのか、コイツ?


 目に見える範囲に、金目のものは見当たらない。

そもそも衣服を纏っていない。

短剣以外に戦闘向きの能力を持っていない俊樹は、戦闘の行方を後方から注視する。


 周哉はふと、眠たいような倦怠感を覚えた。

息苦しさを感じた彼が鼻を啜ると、ねばついた音がした。

左右から探索チームのメンバーの咳が聞こえてくる。


「さっきの息!吸うと…風邪になる」


 茶髪の女――岐城菜々きじょうななはは苦しそうに言った。

骸骨が吐き出した不快な霧を、彼女は思い切り吸い込んでしまった。


「誰か……、風邪治せる人いない?」


 奈々葉の問いに応える者はいない。

げんなりしつつ、彼女は骸骨から距離を取る。

その時、奈々葉は突起で躓き、斜面を滑り落ちていく。

彼女は先にある深さ10mほどの窪みに嵌る前に、指を岩肌に突き立てる事に成功した。

岩を土塊のように貫いた指を動かし、奈々葉は8名の元に這い戻る。


ありがとうございました。

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