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鉄の騎士と復讐の拳(1)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。

 紀里野道隆きりのみちたかは、東郷町を訪れていた。

彼は現在、人材派遣ネット経由で受けた、畜産農場の警備に就いている。

度々暴徒が略奪に来るらしく、それを撃退してほしいらしい。

総勢12名のうちの一人として、道隆は名古屋から農場までやってきたのだ。

全員異能者である為、行き来は容易だ。


 勤務先のスーパーには、8月以来出勤していない。

店は営業できる状態ではなくなっているのは、遠巻きに確認した。

道隆は単発の依頼をこなして貯金を蓄えつつ、愛知県全域を結界で外から隔離していた。

これにより、怪異は外に漏れ出ていない。


(すげーつまらないけど、ボロい…)


 12名のうち、6名は基本的に交代要員であり、今は道隆達の休憩時間だ。

菓子をつまんでいる者、お喋りに興じている者、様々だ。

道隆自身は読書をしている。この休憩を終えると、また巡回するだけの仕事が始まる。



 東郷農場で飼育されているのは主に鶏、牛だ。

妖気を受けた変異生物ではない。純粋な家畜である。

牛のもどきや三本足の鶏に比べると、衛生や造形などの理由で値が張る。


「敵襲――!!」


 道隆の勤務時間中、緊急の報が農場に響いた。

配置された人員が出向く間、交代要員が農場の護衛を務める。

敷地から外に出ると、バイクに乗った革ジャンの男達が目に飛び込んできた。

一様に厳ついが、本場のギャングに比べると格好がついていない。


 狐色の肌をした男の声が響き、道隆は思わず足を止めた。


「そこの三人、他所に回ってくれ!まだいるかもしれない!」


 狐色の男と他二人が、30名ほどのバイカーに突撃する。

近くにいた二人の男がめいめいに走り出す。

道隆も急かされるように、走り始める。

西に向かって進むと、20名のバイカーが視界に現れた。


 道隆はバイカー達との距離を、見る見るうちに詰めていく。

脚力は精神活動によって強化され、その走力は大型バイクと比べても遜色ない。

バイカー達は道隆と苔色のコートを着た男に気づくと、一斉に鈍器を構えた。

後方には貴重品の銃火器を携えている者もいる。手前の10名が突っ込んでくる。




 突っ込んでくるバイクの1台を、道隆は回し蹴りで吹き飛ばす。

車両の疾走が、ただの蹴りに阻まれる。ギャングたちに戦慄が走り、後続の10名は回れ右をした。

回転するタイヤに接触させた脚に痛みが残っているが、動くのに支障はない。


 残った10人の内、6名がバイクから降りた。

一人がバールのようなものを振り回すが、道隆には掠りもしない。

羆の一撃に等しい掌打を受けて、ギャングは背中と口から血の煙を上げた。


 すかさず一人目から距離を取り、二人目に下段蹴りからの正拳突きを浴びせる。

ギャングの脚が砕け、首が飛ぶ。

そこに2台のバイクが突っ込んでくるが、道隆はジャンプして避け、片方の運転手を潰す。

滞空が終わり、着地を試みる道隆にギャング達が迫る。


 道隆は自身に突き出されたバットを蹴り落とし、着地。

直後、衝撃が道隆の背中に走った。

別の金属バットが命中したのだ。下手人は獣の笑みを浮かべたが、それも横蹴りを食らうまでの話だった。

闘争の緊張に突き動かされた今の道隆を、一般人の振るう鈍器で止めることはできない。

バイクに搭乗したままの1人は逃げ出し、その場に3名が残ったが、彼らは障害足りえなかった。


 道隆が10人撃退する頃、苔色コートの男も後続の10人を倒していた。

彼は遠慮なく異能を用いてギャングを殺害しており、道隆が駆け付けた時には、戦いが既に終わっていた。


「お疲れ」

「あ、ああ…」


 苔色コートは親しげに語り続ける。


「レインボーズのやつら、こんなとこまで出てくるなんてな…」

「レインボーズ?」

「知らないのか?」


 苔色コートはレインボーズについて説明する。

彼らは名古屋異変の後に出現した、コミュニティの一つであるとされる。

暴徒化したバイカーが集合して犯罪行為に明け暮れるうち、一個の勢力として認知されるようになった。

市民から早々に敵視され、滅亡は時間の問題……と思われていたようだが。


「ふーん、日本にバイカーギャングが出来るとはね…」

「バイカーギャング?」

「アメリカとかにいるらしいよ、殺人とかやる、暴走族のスゴイやつ」

「へー、確かに拳銃撃ってきた奴もいた…」


 苔色コートが言い終えかけた時、妖気が発生した。

道隆が先に行き、苔色コートが後ろに続く。


「なんだ!?」

(あれは象か…?)


 湖を挟んだ路上で、20名ほどのギャングが、浅葱と紫のツートンカラーのマンモスに蹂躙されていた。

蹄から放たれた魔力が扇形の衝撃波となり、地面に小さな亀裂を走らせる。

運悪く触れたギャングとバイクが、空高く舞い上がる。

道隆が彼らを視界に収めた時、数名の異能者が急行していた。




 道隆が活躍する間もなく、マンモスは倒された。

これ以降のトラブルは無く、道隆達は定刻で業務を終える事ができた。

日当の20000円を受け取り、各自家路につく。

途中で強奪されても叶わないため、心の中から一対の翼が生えた黒い馬を呼び出すと、それに跨って道隆は帰宅した。







「タカシ達がやられたァ!?パシリもまともにできねェのかよォ!」


 その日の深夜、人気のないスナック。

サングラスの若い男が、壁に蹴りを入れた。

深々と刺さった右足を抜くと、どっかと床に腰を下ろした。

彼はレインボーズのリーダーである。


「あー、まともな肉食いてー、食いたくねぇ?」

「食いたいッス……」

「だよなー、ハァ…」


 リーダーは悲しそうに息を漏らすと、身体を丸めて寝転がった。

右腕は肘の5cm上あたりで切断されており、右袖も相応に短くなっている。

縮こまっていた男は、矛先が自分に向く様子がないとみると、聞こえないようにゆっくりと息を吐いた。


 変異生物の肉の味は、既存の食肉と大差ない。

加工前を知らなければ口にできる程度の質はあるが、味や歯応えに違和感があるのだ。

青臭かったり、砂のようにザラザラしたり。


「あの」

「あ?」


 声をかけた男に、サングラスが向けられる。


「あー、俺寝る…お前、てきとーにやっといて」


 リーダーはだらりと立ち上がると、店の奥に引っ込んだ。

取り残された男は、外に集まっている十数名のチンピラに解散を命じるために出て行った。


ありがとうございました。

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