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蛮神の宮は東方に消える(2)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 BTDで昼食を頂いた後、3人は示し合わせて中年男性の行方を捜索。

しかし30分近く経ってから捜し始めた事もあって、見つける事は出来なかった。

三手に分かれた彼らは、1時間ほど経ってから集合した。


「見つかりませんね…」

「飯食ってから捜し始めたしな、しょうがねェ」

「どっか隠れてんのかなー」


 思い付きを口にしただけだが、的を射ていた。

彼は物陰に隠れながら自宅を目指していたのだ。

ディエゴは捜索中、隠れている中年男性のそばを通り過ぎたのだが、気づく事なく通り過ぎてしまった。


「彼の捜索は一旦置いておきましょう、手がかりは手に入りましたし」

「捜索願いか」


 印刷された写真を見ながら、ディエゴが呟く。

初めて写真を見た時は、彼も随分驚いた。

出身世界には存在しない代物だが、もはや珍しいとも思わない。


 ビラの下面に連絡先が記されている。

現在の名古屋では一部地域を除いて、固定電話は使えない。

携帯電話を持っていない以上、男性と連絡を取る手段は公衆電話しかない。


 上前津駅の出入口近くにある適当な公衆電話を使い、フレデリクが連絡をとる。

彼はディエゴ達に興味を持ったらしく、面会の約束を取り付ける事が出来た。

受話器を置き、3人は今池の公園に向かう。

公園のテントは狭く、人気のないマンションの陰でディエゴ達は顔を合わせた。


「アンタらもあの場にいたのか?」

「えぇ。何故、あれほど荒々しく怒鳴り散らしていたのですか?」


 中年男性――南雲は神妙な面持ちで切り出す。


「アイツらの周りで、失踪人が出ていることを知ってるか?」

「アイツらってのは、団体の事か?」

「そうだ」


 3人の視線が交差する。


「…初めて聞きました。何人消えたんですか?」

「……知っている限りでは、四人だ」

「四人きりか」


 やや間を置いてから、フレデリクが質問をする。

声には呆れたような調子が潜んでおり、それを読み取った南雲は声を荒げる。


「四人きり!?四人消えたんだぞ!なんだその言い草は!」

「うるせぇなぁ。人が消えるなんざ、街の状況を見りゃ珍しくねぇだろ?」


 唾を飛ばして言う南雲を、ディエゴは面倒臭そうにあしらう。

失踪者は特段珍しいものでもない。異変以前の名古屋にもいたし、ディエゴ達3人の出身世界にもいた。


「竜二も、依頼した二人も!…絶対、アイツらが何か知ってるんだ…」

「ええと、他に分かっている情報があれば、教えていただけますか?」


 南雲は啜り泣いたまま頷き、自分で調べた限りの情報を明かす。

竜二の行方は杳として知れない。捜索願を受けた二人の派遣ネット会員、興田と下野は依頼を完遂することなく名古屋から引っ越していった。

興田には恋人がおり、彼女も同様に引っ越している。

三人は姿を消す前、BTDに関わった。興田の恋人も間接的ではあるが、関係者だ。




 3人は南雲のもとを去ると、お互いに予想を出し合った。

本部までの道のりを逆に辿る途中、若宮大通を通過。

花蕾の群れは殆ど刈り取られており、男達も姿を消していた。


「犯人だとしてさ、何で被害者を消したのかな?絶対目立つのに」

「消してませんよ。引っ越したんです」


 失踪者は組織が消したのではないか、とヨアンは思っていた。

しかし、人が消えれば耳目を引くだろう。

異能を扱う人々が暮らすこの街で活動しているにしては、迂闊ではないか。


「でもそうですね。僕なら心変わりしたように暗示をかけて、街に放り出しますが。市外に引っ越すとなると目立つでしょうし」

「身代金…でも無いしな。労働力にでもしてるんじゃないか?」

「生贄!」


 彼らはBTD探索を脇に置き、ダンジョンを手に入れる事を目指した。

運営権を手に入れれば、帰還する事が出来るかもしれない。

僅かな望みをかけて、未発見のダンジョン発見を目指す。

多少興味を引いたが、依頼として受けた訳でもない。情報収集はダンジョンのついででいい。


 3人はそれと並行して維持局、被害者周辺を聞きこんで回った。

維持局が掴んでいるのは、竜二以外の3人が市外へ出て行った所まで。

竜二の行方については、彼らも知らない。

BTDにも人員を向かわせたが司法や行政の後ろ盾が無い以上、凶悪犯でも無い限り捜査を強行する事は出来ない。





 3日経った、午前0時過ぎ。

彼らは上前津のBTD本部に戻ってきた。

3日かけたがディエゴ達だったが、ダンジョンを手に入れる事は出来なかった。

推定10万とも言われる異能者が暮らす街においては、歴戦の冒険者だろうと活躍するのは難しい。

ダンジョンは一旦忘れ、BTDの秘密を解き明かすことにした。何も無いなら、それで結構。


「緊張する~♪」

「さぁて、何が出るかねぇ…」


 ディエゴとヨアンは気持ち胸を弾ませながら、本部を見つめる。

フレデリクだけが冴えない表情で、周囲を気にしている。


「ここは一旦後にして、やっぱりダンジョン探しませんか?」

「腰を重くする気か?流れに乗ったら岸に着くまで、だ」

「その調子で死んだら、意味ないですよ」


 3人は本部に近づくが、扉にはシャッターが下ろされている。

ディエゴが開けようとするが、外からでは開けられない。


「フレデリク、鍵開けてくれ」

「え!?待った待った。これ鎧戸だから、音すごく出るよ!?」

「だったら、窓でも割るか?」

「通路を作ればいいでしょう。ダー・イー・ポー・コフ」


 呟きが終わり、壁面に光点が出現する。

光点は広がり輪となった。ディエゴ達は光輪の内側に開いた黒い闇の中に、足を踏み入れた。

受付のある広間は闇に包まれ、耳鳴りがするほど静かだ。

本部に侵入した3人の背後で光輪が姿を消す。壁には傷一つない。


「明りをつけますか?」

「いらねぇ」

「俺もいらない」


 地形探知の術を使い、フレデリクは周囲の様子を把握。

ディエゴは夜目がかなり利くので、この暗さを問題にしない。

暗中でも十全の動作を取ることができるようになった3人は、一階を探索を開始する。


「地下に何かありますね」

「え、嘘!当たり…?」


 3人は地下への入口を探す。

その最中、フレデリクの術が隠し扉の存在を感知。

扉を開ける際に派手な音を立てたが、誰も現れない。


「警報などは設置してないのでしょうか?」

「ならついてないんでしょ。こんな時間に誰も来ないよー」

「……早めに終わらせるか」


 まもなく、地下への入り口が3人の前に現れる。。

70段ほど降りた後、湿った空気が漂う回廊に3人は立った。

回廊は階段から10mほど先で右に折れている。物陰に潜む者がいない事は、術で把握できる。

階段を降りきってから急速に効力が薄れており、回廊を1m進む頃には見えなくなった。


「フレデリク、明り」

「ティム・ソー・ク」


 3人の前方に蛍を思わせる光源が出現する。

壁や床の状態を確かめながら、回廊を奥へ進む。

右に曲がり、下に降り、さらに直進して、3人は小さな円形の間に出た。

円形の間には奥に向かって、3つの出入口が存在する。


「3方に分かれているますね…」

「これは、全員で一本づつ行けという啓示か!」


 地形探知の呪文をもう一度唱えたが、発動しない。

訝しんだフレデリクが部屋を丹念に調べると、何かの式が敷かれている事が分かった。

如何なる式なのかは不明だが、状況から見て魔術を阻害するものなのだろう、とフレデリクは考えた。


「どうする?全員で行く?」

「その方がいいだろ。何が隠れてンのか分からねぇんだから」


 3人は地上行きの出入口から見て、左端の穴に入った。

緩やかなカーブを歩き続けて、七角形の台座に行き着いた。

台座の内側には円形の溝が彫られ、そこに手摺りがついている。

最初にディエゴ、次にヨアン、最後にフレデリクが円形の足場の上に立つ。

3つ数えてから、足場が下降を始める。下降が収まると、3人の視界に暗緑色の扉が姿を現した。



ありがとうございました。

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