道隆の化身/働きたくない2人
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
(父上、外で)
(え、あ…!)
道隆は部屋を飛び出すと、香菜を呼び出し事情を聴く。
父親に始末を任せてきたらしいが、それ以上の事は彼女にも分からないらしい。傀儡にした父親に丸投げしたという事か。
「あの、私何か…」
「なんでもない。なぁ、その父親ってさ、血を吸った?」
「ううん、吸ってない。なんか臭いし…」
なら父親は人間なわけだ。
さらに血を吸って殺した母親は、蘇生しなかったらしい。血を吸った全てが吸血鬼になるわけではないらしく、衰弱している最中に蘇ることは無いようだ。
スマホで検索するが、香菜の殺人はネット上で発見できなかった。
「あの…、私…」
「…知らんぷりしとけばいいんだよ、放っときな」
香菜に別れを告げ、自室に戻る。
(化身を呼ぶか)
(デメリットはあると思うが…)
(それが一番いいだろ)
道隆は化身を作る、石堂家に遣わした時を鑑みるに特別な手続きは必要なさそうだ。
自分の身体から、瘤のようにもう一人の自分が生えてくるイメージ。しかし、それは自分とは外見が異なり、情動が薄い――オリジナル並みの感情など邪魔なだけだ。
そして自分程の戦力は必要ない。吸血鬼を確実に見つけ出し、吸血鬼を人目につく事なく狩れればいい。
香菜の故郷――横浜駅の片隅に独りの男が現れた。
凹凸の薄い、一重の丸顔は如何にも冴えない。しかし吸血鬼と人間を正確に見抜く5感を与えられている。
人々に耳目を引かない性質を持ち、運動能力は人間の限界を超えていない――仮に倒れたとて、化身が受けたダメージは数十分の一にまで削減される。
――吸血鬼狩りが横浜市に降り立った。
(こいつもやるか…)
隠形術を身につけた魔物を2体――赤と緑のまだら模様のヤモリっぽい人型を監視につける。
吸血鬼狩りが暴走するようなら、喉首を刈っ切って始末するべし。再生能力や知覚力は健康な人間のそれ、2体いれば殺害できる。
(さて…、どうなるかねぇ)
それから1週間、何事も無く日々は過ぎた。
NPCが暮らす街で息を潜めるように過ごすのは、牧野母子らにとっては苦痛だが、2人に限っては問題ではない。
労働は嫌いではないが、道隆は社会的立場には興味ない。人の多い場所を嫌う香菜も同様。
「ミッチ~、塩味がキツイー」
「うるせぇ」
2人はそろって、中華調味料で味付けした野菜炒めと味噌汁を頬張る。
食材は一定量を下回ると、自動で補充されるため、こだわりがない限り買い出しに行く必要がない。
(そろそろ死んだのか?)
化身は不眠不休で追い、そして狩った。
彼は殺した吸血鬼の死体を消す――――戦闘者としての強さではなく、吸血鬼狩りとしての性能を高めたからだ。
後31日。それだけ経ったら、魔物を介して戻るように言おう。役割から解放してもいいかもしれないが。
ありがとうございました。