吸血鬼女王には弱すぎた(1)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「あ、あの私、外から来て…」
「外?」
「愛知県じゃなくて、神奈川…実家は横浜にあって」
紀里野家に上げられた香菜は、途切れ途切れ喋り出す。
「あの、東郷さんは、封鎖の外にいたのに異能者になったんですか?愛知県に来てからじゃなく」
「違いますけど…、そういうものなんスか?」
「異能者になる仕組みとかはわかってないんだけど、なんで封鎖を越えてきたの?」
香菜が息を呑む音を、杏子以外の全員が聞き取った。
既に何人も殺した香菜だが、人並みには判断力も倫理感も備わっている。
だから自分に発現した異能について喋るの不味い。外で殺人を犯した、血を飲まねば生きていけず、血の摂取を怠った場合は飢餓感で暴走する。
その意味を理解できない程、頭の悪い女ではない。
「あの…、名前、教えてください」
「儂?」
香菜が頷いたので、道隆は素直に名乗った。
「他の人…、ちょっ、と……出てもらっていいですか」
道隆は訝りつつ、香菜の要望を通してやる。
咲世子が出ていってくれるか不安だったが、目配せだけして部屋を後にした。
後で聞かせてほしいのかもしれない、と道隆は見当をつける。
「これでいい?」
「……私、外で色々やって、それで早苗って人に見つかって」
固く閉じていた口をこじ開けて、言葉を紡ぐ。
言いづらい部分は濁せばいい、要点はそれでも伝わるはず。堂々と言えるような事じゃないのは、向こうだってわかってくれる。
色々とだけ言った部分が気にかかったが、道隆は問わない。
聞くのは野暮だと思ったし、大抵の事はそうか、で流せてしまう。
要するに香菜の背景に興味がないのだ。道隆の内情は手を差し伸べた時点で完結しており、実際に彼女が救われるかどうかは知った事ではない。
「私、貴方がここを作ったって聞いて…」
「作ってない。広がらないようにしただけ」
「すいません、それで、……親と仲悪くて、家に帰れないんで、ここに置いて……」
道隆がまず思ったのは、早苗にはいろいろと聞く事がありそうだという事だ。
保護してもいいかもな、と彼は思う。自分がやった事をうっちゃって逃げる、その心情には覚えがある。
道隆も人生のうち何度か、逃げてきた事がある。小学生時代には脱走したし、異変前に無断欠勤を唐突にかました。
「東郷さんの能力は?」
「……え?」
「能力があるだろ、どんな力が使えるんだ?」
吸血鬼について明かすべきだろうか、と香菜は迷う。
道隆に出会うまでに女を1人襲った。彼女は蘇っただろうか、香菜には判断できない。
香菜が1回でも血を吸うと、犠牲者は遠からず死ぬ。襲ってから時間を置いた所で、犠牲者を生かす事が出来ない。
ありがとうございました。