肥えた女は理想郷を探す(3)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「……で、どうしよう?」
「紀里野さんはどうしたいの?」
「儂は、受け入れてもいいと思う」
「ハァ!?なんでだよ、怪しいじゃん」
暁が不満の声を上げる。
「怪しいなら、聞いて反応を見ればいいと思うけど、どうして?知り合いじゃないんですよね」
「うん、今日の昼間あったばかりだ」
「…まさか一目惚れ?」
「違う。助けよう、って決めたから」
咲世子と養護教諭以外の全員が、眉を顰めた。
得するが自分が間違っていると思う道と、損するが自分が正しいと思う道、道隆が選ぶの後者だ。
正しいか否かは、主観で決める。愛知県が崩壊するまでは、選びようがなかった――だが、今は違う。
「目についたから、手を出したから、面倒見ようって思うんだよ。出会ってなかったら、助けなかったと思う」
「そりゃそうだろ…なんでそう思うんだよ?」
「さぁ?ま、どうでもいいじゃない」
「ねぇねぇ、亮典も言ってたけど。異能者かどうか、聞いてみればいいじゃない。違うって言ったら怪しい人、そうだって言ったら信用できる人。どう?」
会合の行方を、咲世子の意見を決めた。
どんな相手なのか――そもそも名乗ってすらいない――、直に見なければならないだろう。
香菜は2体の魔物を、何度も盗み見ていた。
よくよく考えると、いきなりここに来るのは不味かった気がする。
こちらは紀里野道隆について知っているが、向こうは何も知れない……ストーカーと思われるかもしれない。
(どうしよう、入れてもらえなかったらどうしよう…)
助けてもらえると思ったから、ここまで来たのだ。
家には帰れない。言い聞かせた父親が、恙なく後始末を済ませているだろう。
いや、ひょっとしたら帰れるかもしれないが、帰りたくない。向こうに帰ったら、受験や就職が待っている。
ロクな進路を選べる成績では無いし、昼間は二階まで階段で上がるだけで息切れしてしまう。
(どうしても入れてくれないなら、誰か襲って…)
どうなるだろう?異能者…自分と似たような人がいっぱいいるらしい。
人間相手に超能力を使っていた自分より、間違いなく強いはずだ。数十万の、異なる能力を持つ人々が、警察や自衛隊の目の届かない土地で一塊になって暮らしている。
やっぱり帰ろうかな、封鎖の外の方が安全ではあるのだ――だが、自分には飢餓感の問題がある。人を殺しても捕まらないらしいが、私刑で殺される危険があると聞いた。
(失敗したかな…)
バリケードの向こうから、道隆の気配が近づいてきた。
彼は異能者の気配2つ、怪物の気配1つを引き連れている。ビルのように聳える瓦礫の壁の上から、道隆が降りてきた。
道隆は、中学生くらいの少年を2人と、幼い少女を引き連れている。少女に笑いかけられた瞬間、香菜の全身で殺意のノイズが唸った。
「あ、あの~」
「あんた…名前は?」
「香菜。東郷、香菜ッス」
「東郷さんってさ、異能者?」
香菜は思わず目を逸らした。
(ど、どうしよう…)
明かさなかったのは不味いだろうか、不味いに決まっている。追い返されるのかもしれない。
「あ、あぁ……はい」
絞り出すように言った彼女を見て、暁と亮典は顔を見合わせた。
ありがとうございました。