荒んでいても僕の街
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
道隆は由依の保護を、分身に任せて石堂家を後にした。
(これは寝取られになるのかしら?)
成人向けコンテンツに浸かっているからか、良からぬ想像が膨らんでしまう。
化身という事は、そのあたりの思考も、あの道隆は把握しているのかもしれない。道隆は結局、化身道隆をそのまま置いた。
別人の姿、というのも癪だ。自分と同じ体型、顔立ちならダメージも少ない……のではないか?
(いや、まぁ設定恋人ってレベルだけどさぁ…)
道隆が飛び続ける間、空にガラスのような罅が入る。
ひび割れた空の隙間から無数の腕が伸び、道隆を掴もうと迫ってきた。
(冗談じゃないっての!)
道隆は1000mの上空で、プラズマ球の壁を築いた。
その全てが一斉に炸裂。気化した巨大な腕と、熱波が地上に降り注ぐが、それらの一部は障壁や怪物の身体によって阻まれた。
異能者が目覚めつつあるのだ。彼らは記憶を取り戻すと、頭上から降り注ぐものから、近所の人々を守らんと動いた。
「貴様ぁ…、なぜ桃源郷を壊す!皆から平和を奪おうというのか!紀里野道隆!!」
巨大な芋虫が顕れ、空中で螺旋を描く。
それらは寄り合わさり、一つの塊を形成。マーラの顔となった。
彼は平素とは異なり、憤怒の相を形作っている。対照的に、道隆の内情は冷めていた。
「ここはいい世界だよ、けどな、お前に飼われるなんて受け容れらないんだよ」
「何故!?県に、会社に、家族に飼われていたお前じゃないか!それらと我が何が違う!何も奪わない、傷つけなどしない!!」
「それでも…、儂はここを出ていくよ」
マーラの顔は、苦悶に耐えるように顔を左右に振る。
理解できない。彼は友人と、恋人を用意されたこの名古屋での暮らしを受け入れている。
だというのになぜ拒むのか。マーラに歩み寄ると同時に、道隆はある一線から先を、頑なに踏ませようとしなかった。
それは道隆が、道隆であるための線。彼自身にも言語化できない……気取った言い方をするなら、意地とか誇りとか言えばいいのだろうか?
マーラは決して無力ではない。最も得意とするのは幻覚を始めとする精神操作だが、現実において魔力を振るっても、高いパフォーマンスを発揮できた。
その為、他化自在天は何事も無ければ、地球全土を覆っていただろう。しかし、愛知県には異能者がいる。
マーラの結界が水平に持ち上げられた半紙なら、異能者は岩石のようなもの。その中でも道隆は、レベルが上がっていることに加え、多数の魔物を抱えている。
単一の魂のみ抱えているのが殆どの異能者の中で、抜きんでて重いのだ。箱庭の崩壊は、現実に重ねた時点で避けられなかった。
マーラの顔を形作る芋虫が黒く染まり、力を無くすように崩れ落ちる。
それと同時に周囲が暗くなる――視野が落ちているのだ。
宙に浮かぶ道隆の肉体が重さを増し、水死霊に引きずり込まれるように、道隆は落下。
身体は言うことを聞かない。ぶつかる!と思った直後、周囲の景色が変化していた。
由依の元に置いていた化身が、道隆と融合。
特におかしな真似はしていないらしい。視野に清明さが戻った時、道隆は空の上にいた。
高度を下げると、街並みが徐々に大きくなる。異変から半年ほど経過した、現実の名古屋――――道隆の心の中に、魔物達の息吹が広がった。
(父上!)
(おぉ、どうした?)
愛知県を霊的に支配する飛蝗頭の声。間違いない、自分は帰ってきたのだ。
(どうしたではない、外からの干渉によって存在を封じられてしまった!結界に手が加えられていないのが幸いだが)
(あぁ…)
道隆はマーラの世界での体験を伝える。
(父上を型に嵌める程の精神操作の使い手か。…倒したのではない?)
(あぁ、夢の中じゃ負けたし。悶えてたけど、本体じゃないな、あれは)
(ふむ……、愛知県内に、父上が覚えている気配の持ち主はいない。高槻という少年は、名古屋にいるが)
(へぇ?)
マーラの軍勢の気配を、飛蝗頭は探知する事が出来た。
亮は関係者だ、気配を隠しているが恐らく彼らの仲間。伝えられた道隆は、曖昧に返事をする。
あの空間の居心地の良さを思うと、根絶やしにする必要があるとは感じない。
(石堂っていう女の子はどうだ?)
一応、親しかった女子だ。見当はついているが、はっきりと答えを聞きたい。
(……あぁ、いる。菅松香里もな。様子を見に行くか?)
(えぇ!?…いや、やめておく)
学校に置いていった為、香里と会うのは気まずい。
由依は覚えていない可能性があるし、覚えていたとしても、どのように会話を切り出せばいいか分からない…高槻に会おう。
彼の反応次第で、由依の顔を見に行くかどうか決める。道隆は飛蝗頭の案内に従って、高槻の元に向かった。
ありがとうございました。