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7月の異変、再び(2)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・展開次第でハーレムもあるか?

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


「ミッチ、どこか行くの?」

「……」


 道隆は由依の問いかけに、無言で答えた。

白い燐光の中から、夜色の甲殻に身を包んだ怪人が姿を現す。

見知った人間が突如、異形に姿を変える瞬間を見た由依は言葉を失くした。

道隆は手を伸ばすと、呻きを漏らしながら身を引く。


「危ない所には行くなよ」

「え、あ…」


 道隆は後ろ髪引かれる思いで、石堂家を後にした。

霧と化し、星ヶ丘方面に向かって飛行する彼の側を、翼を持った怪物達が通り過ぎる。

百貨店が見えてきた頃、黒い馬に乗った早苗と、白い馬に乗った夏姫が近づいてきた。道隆が固体化すると、早苗は馬の腹を軽く蹴った。


 同じ頃、学校を抜け出した亮は白い空間にいた。

池崎ら、生き残りの軍勢と共に、他化自在天の内側で繰り広げられる惨事を眺める。

マーラの空間は、この時点で尾張西部を呑み込んでいた。


「目覚めた市民は、まだ10人にも満たないようだね」

「愛知県全部には広がってないけど、そこから来たのかな?」

「それはちがう」


 亮達の後方に、膝を立てて座ったマーラが出現する。


「我が腕に戻りはしたが、外を眺めた者達がいる。彼らは超人としての記憶を、まみえた魑魅魍魎を思い出し、こねくりまわしているのだ」

「…?」

「えーと、現実に戻りたがっているという事ですか」


 マーラは気のない様子で池崎を流し見、一度欠伸をした。


「マーラ様、このままですと結界が崩壊します」

「いや、我が庭園は崩れない。子らが安寧を諦めない限りはな」


 亮達は顔を見合わせる。


「地上で暮らす魂の半分が平穏を望み、もう半分が破滅を望む。彼らが心から欲した末の結末なら、我はそれを信じているさ」

「それは……人間だけですか?それとも全ての生命を含めて?」

「さぁ」


 道隆と早苗達は、連絡を取りつつ現れた怪物を始末していく。

彼らは道隆が閉じ込めた怪異の中で生まれた者達とは違う、この名古屋の住人が欲し、形となったものだ。

もっとも強い欲望――煩悩が、人間関係を歪める世界。他者の望みに引っ張られる者のうち、不満を抱く者がいてもおかしくない。

努力を要求しないマーラの世界においても、成功者と敗北者は存在した。その中に、異能者が蔓延る名古屋に戻ろうとする者がいないと、どうして言えるだろう。


 あそこには自由があった。

安寧と引き換えに、あらゆる生き方が許される土地。

道隆はマーラの気配を探し、早苗達から離れる。その一方、置いてきた由依の事が気にかかっていた。


(ここの奴らって、実際の人なのか?)


 記憶は作られたものでも、彼女らは実在の人間なのかもしれない。

道隆は名古屋を出るついでに、石堂家を通り過ぎる事にした――気配がする。

慌てて接近する道隆の感知網に引っ掛かるのは、異能者だ。何者だろう。

石堂家に現れて、彼は目を剥いた。


 石堂家の周囲に乱雑に置かれた、怪物の死体。

玄関から由依と、一人の男が現れる。道隆だ。鏡で見る自分そのものの姿をした男が、彼女を連れて現れた。


「お前…」

「おっと、待て待て、そりゃ驚くよな」


 もう一人の道隆は、訳知り顔でこちらに向かってくる。

おもむろに彼は、道隆の胸に腕を突っ込んできた。悲鳴を上げようと口を開いた時、彼の内側に情報が流れ込んでくる。

もう一人の自分は姿を消した。分霊――それがもう一人の道隆の正体。道隆が力の一部を切り分けると、彼そっくりの男が再び現れた。


「長々と説明するより、早いだろ?」

「まーな…、分霊?」

「分霊でも、化身でもいいけど、つまり俺はお前の切れ端みたいなもんなんだよ。お前が由依を保護したいって思ったから、俺が遣わされたわけ」


 道隆はきょとんとした顔で、分身道隆を見つめる。

異能者となり、この身には様々な変化が起きた。しかしこの事態は、処理が追い付かない。


「それってさ、魔物とどう違うんだ?」

「魔物ォ?あぁ、あいつらとは違うよ。俺は何つーか、異能者なら全員持つことが出来るらしい」


 道隆は眉を顰める。

道隆の異能の一つは、手足となって動く魔物の使役だ。それと分霊――化身の何が違うのか?


「いやいや、魔物ほど気楽には使えないぜ。あいつらは死んでもお前の内側に還るだけだが、分霊が死ぬと、本体にもある程度ダメージがフィードバックされるからな」

「ダメージ…」

「切り分けた力の量に応じて、受けるダメージは変わる。死ぬことは無いはずだが、はっきりした事は言えん」

「そういう事知ってるのも、化身だからか?」

「化身って言うか、俺達の身体機能みたいなもんだからな。咀嚼したモンがどうやって栄養になるか、語ってるみたいなもんだ。コツさえ掴めば、便利に使えるぜ」


ありがとうございました。

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