表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/152

7月の異変、再び(1)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・展開次第でハーレムもあるか?

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 スーパーから通りに出た道隆は、夜空で燃える2つの星を見た。

目を凝らすと、手足の長い人型が夜闇の中に、黒々と浮かび上がる。道隆は見られている、と感じた。

道隆が弾かれたようにバックステップすると、先程まで立っていた地点が陥没する。土を握り込み、指の間から零れるように、目の前で瓦礫が降る。


 肉の腐った臭いが、道隆の嗅覚をくすぐる。

耳元で何かが囁く、それに意識を向けると同時に空腹を覚えた。

身体の奥底で、顔のないものが悲鳴を上げる――腹が減った。


 道隆は銀のリボルバーを取り出し、砲撃態に変化する。

装甲は厚さを増し、その外見はさながら、人型の城塞を思わせた。

黒い翼が空を混ぜると、推進力が発生。巨大な人影の腰の高さまで浮上すると、両腕の引き金を引く。

閃光が走り、空間が引きちぎれる音が響いた。通りに並ぶビルが下半身もろとも、一点に集束。


 人影は倒れなかった。

夜闇が不吉に唸り、冷えた突風が渦を巻く。道隆を気流が取り巻き、天高く持ち上げようとするが、抵抗する異能者は、根を張ったように動かない。

道隆はプラズマ球を巨大な影目がけて放つ。立て続けに炸裂したそれらは、空を昼間のように明るくする。白い光の中に、テレビ塔のように大きな人影が立っているのが目に入った。


 周囲に喧騒が戻る。

轟音と閃光が晴れた時、道隆は通常空間に帰還した事を悟った。

周囲に感知網を広げるが、怪異は引っ掛からない。道隆は自宅に戻り、就寝。

翌日もいつも通り学校に登校し、授業を受ける。化学の授業を受けるべく、教室から移動を始めた時、道隆は不意に立ち止まった。

巨大な気配が、道隆の周囲を満遍なく包み込んだのだ。発信源が分からないほど隙間ないそれは、学校の外にまで広がっている――懐かしい妖気だ。


(あれだ!)


 7月の異変の時と同じ、学校の内部は僅かに妖気が薄い。

まもなく、グラウンド方面から悲鳴が上がった。道隆が感知圏に収めている半径およそ3㎞内に、妖気を放つ"何か"が数百出現。

道隆がスマホを取ると、早苗からメッセージが送られてきている。読んでいる途中、電話がかかってきた。


「もしもし?」

「紀里野さん、合流しましょう。今どこ?」

「学校…」

「なら今すぐ出て。星ヶ丘の百貨店前に来て」


 通話が切れた。

お互い異能者だ、ある程度近づけば信号でお互いの位置を把握できる。

グラウンドを覗ける位置の教室や廊下の窓には、生徒が張り付き、悲鳴や喚声を上げている。

道隆は由依の元に走ると、その手を取り、駆け出した。


「なに!?…ね、授業は」

「行ってる場合じゃない!こっち!」


 由依の手を引いていた道隆は、ひょいと彼女を抱えて駆け出す。

豹のように玄関に駆け下りていく道隆に、由依は抱っこされたまま、内心舌を巻いた。

彼の運動能力が高いのは知っているが、これまでは加減していたらしい。壁から壁に蹴り移り、あっという間に玄関に到着。


「待…まって」


 道隆は何かしゃべっている事を聞きつけ、急停止。


「靴、靴、替えさせて」

「あぁ、はいはい」


 道隆が降ろすと、由依は使っている下駄箱に走った。

靴を履き替えている途中、悲鳴が2人を貫く。固まった由依を抱きかかえ、道隆は翔ける。

両脚だけを変身させ、スピードを上昇させる。唸り声や湿りのある何かが砕ける音を背に、道隆は正門を飛び越えた。

学校の敷地内にある異能者の気配は一つだけ、おそらく香里のものだ。道隆は由依以外の全員を捨てる――それを気にする道隆ではないが。


 大曾根を通り過ぎた道隆の頭上を、旅客機のような鴉が通過した。

不意に、腕の中にいる由依の事が気にかかる。この少女はひょっとして――"向こうの名古屋"にもいたのだろうか?

マーラによって記憶を奪われ、人生を植え付けられた挙句、儂の恋人に?


「ね、なにあれ?」

「怪物」

「そうじゃなくて…」

「儂も詳しい事は知らない。覚えてないか?」

「何を?」


 由依はきょとんとした顔で、立ち止まった道隆を見つめる。

内的世界の魔物の声は聞こえない。道隆はとりあえず、由依を彼女の自宅まで送ることにした。

玄関の鍵を開けさせ、中に放り込む。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ