集う異能者、星が丘の魔女
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
道隆は現在の境遇に染まりつつあった。
拒否感が薄くなっているのだ。疑問を覚えているし、何より過去の記憶がある。
こういうのも悪くないか、と思う事が多くなった。道隆は曖昧な危機感を抱きつつ、夜の街に繰り出すと、繁華街を当ても無くうろついた。
(2人きりって事、無いと思うんだけど)
道隆は異能者、あるいはマーラを探すが、見つけた所で策は無い。
他に取れる手がない。内的世界の魔物がいれば、別の案が出たかも知れないが声は聞こえない。
闇に沈んだビルの屋上まで跳び、気配感知に意識を割く。触られでもしない程、感覚がシャットアウトされた状態はひどく心細い。
探知開始から終了で5秒、びくびくしながら繰り返す――星ヶ丘の百貨店近くで反応が現れた。
道隆が様子を窺うより早く、相手から接触してきた。
女の2人組だ。他人を突き放すような印象のロングヘアと、猫のような大きな目に切れ長の眉のショートヘア。夏姫と早苗だ。
「紀里野さん…!ここで何を?」
「えぇと」
「異能者を探してたんでしょう、ついてきて」
早苗は夏姫に目配せする。
3人は夏姫の瞬間移動で、鉄骨剥き出しのビルの一室に飛んだ。
早苗は持ち込んだらしいソファに座ると、2人にも座るよう促した。
夏姫は肘つき椅子、道隆は近くに置いてあったパイプ椅子を引き寄せる。
「紀里野さん、目覚めてから長いでしょう?何があったか教えて頂戴」
「儂だけ?そっちは」
「出せる情報がないの、昨日の夕方に覚醒したばかりだから、何でもいい、脱出の手掛かりが欲しい」
道隆は覚醒してから遭遇した怪異について、2人に説明する。
マーラとのやりとり、その手駒である康一らとの戦闘は、早苗の関心を引いた。瞳がきらりと光り、顔がわずかに動いた事に気付いたのは夏姫のみ。
戦闘の様子を喋るときに、そこに触れたのが運の尽き。目の前で銀のリボルバーを取り出し、砲撃態に変化して実演。
「3つ目の能力…、初めて聞いたけど?」
「自分の手札を明かす奴なんていないだろ」
「そうね。正直に話してくれて、ありがとう」
嘘を吐くというのは面倒くさい。
他人に興味のない道隆は、会話内容を忘れ去る事も珍しくない――嘘がバレやすいのだ。
「それと貴方、結局西春より外には出なかったの?」
「…出なかった」
そう、と早苗は黙り込む。
問われた道隆は、彼女の言わんとするところが分かった気がした。
無人の駅舎やロータリー、そして街。空間の形成が完全には済んでいない、ということだ。
「紀里野さん、今日はもう聞くことは無いのだけれど、一人で帰れる?」
「あぁ、まー、大丈夫だ」
スマホを持っていたので、連絡先を交換してから道隆は別れを告げた。
ガラスのはまっていない窓枠に手をかける。上司みたいな物言いだが、噛みつく事でもない。
走って10秒ほどで自由が丘駅前に出た。道隆はその時、北東から発せられる怪異の気配に気づく。
発信源は徳川町。怪異の気配が薄く広がり、徳川町をすっぽり覆っている。
(菅松さんがいない…、どこにいった?)
通りの角に立つファミレスから、道隆は東に進む。
気配は徐々に強くなり、徳川園が見えてくる頃、道隆は異界に入り込んだことに気づく。
振り返ると、暗闇に沈んだ街がそこにあった。スーパーマーケットに入るが、当然明り一つない。
生鮮コーナーを見ていた頃、バックヤードに通じる扉が音を立てて開いた。
商品棚に貼りつきつつ、音のした方向に向かうと、道隆は3つ首の赤ん坊を見つける。
白い肌で這うその姿は、道隆の胸くらいの高さまである。ちょっと考えてから、道隆は距離をとった。
入口が見える頃、足音が追いかけてくる気がしたが、道隆は変身。砲弾のように壁を破り、音の速さでスーパーから走り去った。
ありがとうございました。