煩悩の守護者、夢の中に来たる(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「そうまで心を閉ざすか…、ならばこじ開けて見せよう」
やってない、と道隆が思考した直後、火の雨が降り注いだ。
顔を失ったマーラの姿が、倒れる途中、音も無く消える。気配もそれと同時に消失するが、火の雨は変わらず降ってくる。
火や高熱は変身していれば問題ない――熱い!
(あぁあ、熱い!熱――!!)
道隆はちょっと驚くと、火の雨から逃れようと走り出した。
装甲が剥離し、黒く炭化する。悲鳴を上げる足に鞭打ち、道隆は遮二無二駆ける。当てもないまま、道隆は雷電を放った。
白の世界に、泡が立つように光球が次々と生まれる。一つ一つはボックスカー程度の大きさだった、それらは耳障りなハム音をあげつつ、瞬く間に巨大化。
ドーム状になると、限界まで膨張した風船のように弾けた。
熱と閃光、轟音が世界を満たす。
視聴覚が利かず、気配も感じない。炙られる痛みの中、自分が立っている事だけが辛うじてわかる。
瞬間、首と両膝に鋭く、冷たい痛みが走った。身体が軽くなる。決定的な断絶を感じると共に、手足が動かなくなった。
何かが道隆の頭部――黒く炭化した怪人の首を持ち上げる。
「ほう、まだ意識があるのだな。良かった」
首を拾ったのはマーラだった。
「見ろ。これがお前だ。お前が支えにしている力も、この程度でしかない」
マーラは首を持ち上げ、目線を変える。
融解した後、再び冷えて固まった夢の中のアスファルトに、変身を保ったまま道隆の身体が横たわっていた。
うつ伏せになっているそれは、肩甲骨から先……首が失せている。首だけになっている。
複眼も焦げ、ヒビが入っていたが、そこに自分の身体があることが道隆にはわかった。
(負けたのか…)
道隆は驚きも、恐怖も無く横たわる物を見つめた。
ここで倒れるのは無念だ、しかしやれることはやった。自分が最強の存在だなどと、思ったことは無い。
いや――自分はまだ生きている。終わりではない。
道隆は、己の頭部を霧に変えた。
それに呼応するように、横たわる身体も固体化を解く。同時に杭を呼び出して、マーラ目がけて放った。
全長8m、直径60cmの金属塊が100本、空中に出現。それらは秒速3000m弱、0.2秒ほどで道隆らの現在地点に降り注ぐ。
空間が震え、ひび割れたアスファルトが砂ぼこりのように舞い上がる。
「飢えているのだな。呆れる程に、生に焦がれているのだな」
マーラがしみじみと呟くと、道隆の意識は暗転した。
次に目覚めた時、青みがかった自室のベッドの上。あれは夢だったようだ。
道隆は思わず首をさするが、傷跡すらなく繋がっている。
★
学校に向かう道すがら、道隆は香里に報告を入れる。
彼女も気配感知により、およその事情を把握してたが、マーラについては心当たりはないようだ。
いっそ休むか――それは無茶だ。解決の糸口が見えていないのだから、日常を続けた方がいいだろう。
(別にここにいたいわけじゃない)
体育の授業のバトミントンを、道隆は上の空で受ける。教室に帰る途中、クラスメイトに声を掛けられた。
「なぁなぁ、プールの方覗いてかない?」
「行かないよ」
「えー、あ、ほら…」
見ると男子が数名、連れ立ってプールの方に向かっている。
彼らは道隆が目を向けた直後、怯えた顔で振り返り、そそくさと教室に向かって走った。
「…で、行かない?」
「行かないって――」
独りで行けよ、と言いかけて止めた。
逃げるように去った男子は目を剥いていた、何故と考えて、彼らが異能者でないからかも知れないと考えた。
コントロールできるとはいえ、見るだけで物体を破壊できる自分の視線に、彼らが何か感じてもおかしくないのではないか?
(まぁ、由依もいるしなぁ)
名前呼びするのはおこがましい気がするが、こちらのほうが違和感がない。
出会いから交際に至る記憶に思いを巡らせると、その時の感情までありありと思い描く事が出来た。
マーラが用意したものだとしても、親しい少女のスク水を、勝手に見ればいいと言うのは躊躇われる。
ありがとうございました。