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傷ついた虚栄の帝国(2)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・展開次第でハーレムもあるか?

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 道隆は屋根伝いに距離を取ると、四肢を変化させた。

未だに完全な変身ができない。跳びあがり、そのまま飛行した道隆目がけて、賢人の騎乗物が突進。

重量の違いから紙きれのように吹き飛ばされてしまうが、腕の力だけで突き飛ばされた程度の痛みしか感じない。

空中で姿勢を変えて、手刀を垂直に振るい、不可視の破壊を飛ばす。


 後方から迫っていた刀を持った死体――南雲は、空中で身体を捻って避ける。

しかし、その身は斬り刻まれてしまう。喉と言わず、腰と言わず、肘と言わず、あらゆる場所が切断された。

道隆の視線である。これを見た瞬間、銀河は忌々し気に眉間を寄せる。

彼の能力は死体を操れるが、使役する死体を修復する事は出来ない。彼は捨てるしかない。


 それでも死体が群がるが案の定、一般人に留められるものではない。

生前の数倍の筋力、握力程度では、3レベルの異能者は止められない。彼らも微弱だが怪物の気配を発しており、見るまでもなく対応できる。

視線でなぞるだけで、叩きつけられた水風船のように砕け散っていく。


「マーラ!!俺を助けろ!!」


 銀河は賢人の指示を出し、その場から撤退させた。

急激に高度を上げた騎乗物を追跡するも、道隆は見る間に距離を広げられてしまう。

後部座席で立ちながら、彼は天を仰いで叫ぶ。銀河は自棄を起こしたように、斧を放り捨てる。

得物は垂直に回転しながら、独りでに道隆を体当たりを浴びせる。彼の全身を覆う精神エネルギーの装甲を裂く事は叶わなかったが、進行を妨げにはなった。


 マーラがこの街を生み出したというのに、なぜ自分を助けないのか。

7月の異変が起きる前の名古屋を再現し、記憶を書き換えた住人をそこに放り込めるのだ、自分を強くするくらい造作も無いはずだ。

銀河は他人に下手に出るのが大嫌いだが、ここに至って自分の主義に目を瞑った。

叫びが夜闇に溶けた直後、騎乗物が音を立てて砕け散る。足元が崩れ落ち、急速に落下していく。


 銀河が顔を向けると、道隆は10mまで距離を詰めていた。

一呼吸と掛からず、彼は銀河の生命を刈り取るだろう。賢人に命令すると、彼は騎乗物を再構成。

戦斧が後頭部に直撃するも、頭皮に弾かれる。成長し続ける異能者と、成長しないマーラの軍勢。

彼らの攻撃は、道隆にはもはや通らなくなっていたのだ。


 やがて道隆の周囲に、3人の魔人と100人の一般人の死体が残された。

足元を見回すが、住人が顔を出す気配は無い。道隆は空を飛び、自宅に帰った。

その後方、藍色に染まった天に亀裂が走る。自宅の方を真っすぐに見ていた道隆が気付くことは無く、また亀裂はすぐに修繕された。


 そしてこの日の夜、名古屋市民の中に悪夢を見たものが少なからずいた。

地球上のどこにも存在しない筈の生物が空を覆い、死角から獣とも人ともつかぬ怪人が雲霞の如く市民を押し流し、彼らによって命が奪われた人々が、動く死者となって仲間を増やそうと蠢く――黙示録が始まったような風景だ。

この情景を見たものは、起床する寸前でこの記憶を意識から抹消する――都合の悪いものは見なくてもいい。この名古屋では、それが許される。


 そして道隆も、夢を見た。

天も地も白銀で満たされた街は、薄暗くて明るい。

道隆は防寒具を着ておらず、トレーナーとジーパンに吹き付ける雪が張り付いていく。

異能者ゆえか、あるいは夢の中だからか、寒さを感じない事だけが救いだ。


「やぁ」


 道隆が振り向くと、痩身の男が立っていた。

人相を隠すような髭面で、細い手足は枝のようだ。ガウンのようなゆったりした服装に身を包んでおり、見ていると寒さを覚える。


ありがとうございました。

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