虚栄が築く死者の帝国
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
銀河は夜、賢人を呼び出した。
待っている間、銀河は不安だった。2人きりで話したい、とメッセージを送ったが独りで来るだろうか?
双眼鏡で待ち合わせ場所を眺めていると、橘賢人がやってきた。隣に見覚えのない男がいるが、何者だろう。
銀河は周囲に潜伏させておいた死体を放ち、自身も2人の元に走る。
賢人が自身の獲物である騎乗物を取り出したのは、銀河が駆けつける頃だった。
彼は戦闘機とバイクを混ぜたような、奇妙な物体に乗り込む。物体には車輪が前方に2つ、後方に1つ備えられている。
フロント部分は黒と銀の2色で塗られ、形状はクジラを思わせた。
運転席は縦に2つ並んでおり、賢人は前側に腰を下ろしている。
取り付く事に成功したリビングデッドを蹴りながら、彼は喚いていた。
「兄ちゃん、兄ちゃん!…」
彼はその場から逃げる事を忘れて、兄の死体――この空間で再現された者だ――を揺らしている。
複数のリビングデッドに全身を噛み千切られ、あちこちから白いものが覗く。抱き着く賢人の身体が赤く染まっていくが、彼は気にしていない。
見る見る高度を上げていく騎乗物にとりつき、ホイールカバーの上に立つ。賢人が反応した。
「お前かァ!!」
銀河はマーラに選ばれた、同胞の死体を手駒に加える事にした。
異能者は見当たらず――康一なら、自力で探し出せた――、他に道隆に抗しうる死体は見当たらない。
使役する死体は、生前より身体能力が向上するとはいえ、一般人では高が知れている。
「なんで兄ちゃんを――!!」
お前が連れてきたからだ、心の中で呟いて戦斧を振るう。
「兄ちゃん、危ない!」
賢人の首に、戦斧が振り下ろされる。
衝撃で機体が揺れ、操縦桿が裂けた。刃は骨で止まり、腰を入れて引き抜くまでに蹴りを2発、脛に浴びせられた。
兄ちゃん、と呼ばれた死体が、浮遊する機体から落ちていく。猿のように苦悶の声を上げる賢人は、斧を引き抜いてもすぐに席を立たない。
この隙を逃す手はない。
銀河は厚い刃を、賢人の肩や背中に幾度も斬り下ろし、大きなVの字型の亀裂を入れる。
やがて騎乗物が消えた。その瞬間、銀河は己の能力を発動させる。
――傷つけた死体の使役。
もののついでに賢人の兄を拾い、これにも斧で傷をつける。
銀河は起き上がった彼らの側に立つ。背中や肩に深い亀裂が走っている首無しの男と、全身噛み傷だらけの男。
さらに手駒を増やし、道隆に奇襲をかけよう。
この騒ぎに気付いた者は、市民の中にいない。
道隆と香里の感知範囲に入っていなかったので、銀河の凶行に気付くことはなかった。
この街の市民より上位である彼らは、必要に応じて、自分を中心とした空間を名古屋から隔離する事が出来るのだ。
賢人を掌握した事で気が大きくなった銀河は、他の軍勢を探しに出る。
2人、およびこれまで仲間にした38体――総勢40名は、連れて歩く事が出来ない。
そのため、召喚するまでは単独で相手の攻めを凌がなければいけないのが、この能力の辛い所だ。
ありがとうございました。