接触する虚栄の斧
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
マーラが軍勢の前に姿を現した翌日から、道隆の交友関係に高槻亮が加わった。
はっきりと喋るが態度は控えめ、なにより美形の部類に入る彼は、徐々に人脈を広げていく。
彼は道隆に興味を覚えたらしく、積極に絡んでくる。道隆も悪い気はしない、というより別の事が気になっていたので、突っぱねる余裕がないのだ。
元々、思い煩ったりするのが嫌いな性質で、楽に流されやすい事から、図らずも亮と行動する時間が増えていった。
(杏子さんの子共って、どっちだったけ…?)
道隆はこの異変前、2人の少年と行動していた。
不良っぽい暁、やや優等生風の亮典。彼らは、一般人の母親と行動していた。
それぞれ笹沼、牧野という。杏子の姓はどっちだっただろう、笹沼と言ったんじゃないか?
(咲世子ちゃんの事ははっきりと覚えているんだけど)
つい最近、眷属入りした少女の姿をした怪物。
この空間で高校に通学するようになってから、内的世界の魔物と連絡を取れない。
愛知県に張った結界をはどうなったのだろう、破られてしまったのだろうか?
(なんとかしないとなー)
でも図書委員の仕事もしないと。
あと、デートもしてみたい。本来の高校生活において、恋愛には縁が無かった。
育てているアサガオが芽を出したように、いきなり彼女が生えてくる事など、異能を使わない限り有り得ない。
そこまでして恋人を作ろうとは思わないが、折角だから思い出を作ろうか、と道隆は計画を立てる。
――この名古屋に根を下ろすよう、道隆は外部から干渉を受けている。
昼休み、亮が一つの誘いを持ってきた。
「今夜、友達が心霊スポットに行くらしいんだけど、2人も来ない?」
「肝試しか?」
「えぇ…、やだ。私、怖いの苦手だから」
由依は首を横に振る。
道隆は面白そうだと思ったのだが、彼女がそういうなら自分もやめる。
「ミッチも止めといたほうがいいよ。変な人いるかもしれないし、危なそうだから」
「そうだな、儂もパス」
ただでさえ、学校が辛いのだ。
心霊スポットまで出かけて、帰ってくる頃には深夜だろう。警官に補導される可能性だってある。
「ちなみにどこでやる気?」
「上前津に廃病院があるんだって、俺も現物はみたことないんだけど」
道隆は委員会の仕事を済ませると、由依と共に帰宅。
肝試しに加わることなく、2人の時間を過ごした。帰ると、両親が在宅している。
週末まで一緒にいられるとの事だが、もはや両親が恋しい年齢――設定にせよ、中身にせよ――でもない。
夕食後、由依とやり取りしていると感知網に何か引っかかった。
異能者でも、怪物でもない何かが、2㎞ほど先から自動車として変わらぬ速度で、彼の家に近づいている。
見咎めた両親に一言言ってから、夜気の中に飛び出す。相手も気づいたらしい。
移動速度が速まる。30秒ほど走り、辿り着いた無人の道で、道隆は派手な格好の男と向かい合う。
「――よぉ、紀里野道隆」
「……」
明るい茶髪をソフトモヒカンしている、十人並みの顔立ち――銀河は急ブレーキをかけたように止まった。
その右手には、牛すら両断できそうな戦斧が握られている。一つ幸いな点を挙げるなら、彼は異能者のような優れた感知能力を備えていない。
それゆえ、向かい合っても特別怯える事がなかった。
道隆は泰然とこちらを見つめながら、四肢を夜色の装甲で包んだ。
そのデザインが、かつて彼を殺害した怪人を想起させ、銀河の胸を悪くする。
全く興味なさそうなのも気に入らない。その仏頂面を破り、中身を見てやる。
ありがとうございました。