西春駅にて、暗黒の虹(2)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
驚愕と共に康一は宙に舞う。
サングラス男に衝撃が襲い掛かったが、道隆の拳は明らかに届いていなかった。
インパクトの威力だけが、リーチの外に飛び出してきたのだ。
南米の光の神の前に敗れた康一は、平穏を取り戻した名古屋で目を覚ました。
死んだ、という感慨は遠く、眠りから覚めたような感覚しかない。天地の定かならぬ白い部屋に、見覚えのある者達…マーラの薫陶を受けた連中共に集められた。
彼らは姿なき声から、一つの命令を下された。この街から出ていこうとする者を中に戻し、破壊せんとする者がいれば殺せ。
「一人目でいきなりコレたぁ、長くもたないぜ」
呟きが道隆の耳に入り込む。
何者かの下っ端、というのは殆ど間違いないらしい。
抉られた左腰、頭部や胸部の切創が熱を発する。全身から不快な汗が噴き出してきた。
痛みそのものは我慢できない程ではない。この傷がどのような状態に転がるか、不安なだけだ。
道隆は足元を爆発させると、天高く跳びあがる。
変身時の感覚を思い出すと、飛行するのは容易だった。地上にいる康一は遠ざかる道隆目がけて槍を伸ばすが、雹の嵐を浴びせられると、攻撃を中断せざるを得なかった。
皮膚が痛みを訴え、気管支に入り込んだ冷気が肺を揺さぶる。
このままでは埒が明かない。康一は仲間の一人に念話で呼びかける。
この空間に招かれてから、以前より力が増した。彼の声に応え、丸っこい鼻梁と黒縁眼鏡の男がその場にやってくる。
「な、なに?敵が出たって聞いたけど…」
「おう、あれだ。俺がやるから、時間止めてろ。敵味方識別できるんだろ」
山内は頷き、弓を手にしてその場から駆け出す。
飛び出した康一を見ると、時間を止めた。道隆の全身に重圧がかかるが、彼の動きを止める事は出来なかった。
道隆が銀のリボルバーを取り出すと、両腕が銃身に変化させる。連続で引き金を引くと、空間がちぎれ、足元の街が陥没。
廃墟のような街が消え、巨大な窪地が誕生する。
2人の姿は光の中に消えた。それと同時に気配は消失。
道隆は線路を伝い、上小田井に入るが、騒ぎにはなっていない。
気付いていない……というより、隠蔽されているように思う。あれだけの破壊だ、近隣の街にいて気付かない筈がない。
(気味悪いけど、いいか…)
名古屋に入った途端、何食わぬ顔で行き来する通行人が道隆を出迎える。
この世界は現実なのか、それともヴァーチャルなものだろうか?道隆には判断がつかないが、わかっているのはとてつもなく異常な事が起こっている事だけ。
道隆は今日の探索を打ち切り、自宅に戻った。
★
翌週の学校において、道隆は雰囲気が変わったと頻繁に言われた。
異能者は成長する度、精神エネルギー……オーラや気と呼ばれるものが増していく。
魔術や異能への抵抗力が高まっていく反面、生命エネルギーを発している為、注目を引きやすい。
彼らが言葉を発すれば、自我の希薄な人物は容易く呑み込まれてしまうだろう。
ふと気づくと、クラスメイトが見つめてくる。
積極的に交友を持とうとしない道隆にとって、不特定多数から注目される現況は愉快ではない。
ただでさえ、25歳の中身が寄る辺なさを喚起させるのだ。逃げ出したくなるのを堪え、学校生活を送る。
ありがとうございました。