西春駅にて、暗黒の虹(1)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
道隆が待ちわびた休日がやってきた。
1日を街の探索に当てた彼は、思い当たる場所を歩いて回る。
吹雪で覆われた徳川町に異常はなく、八事霊園でもこれという反応は見つからない。
また、異能者や怪物の気配も探知できなかった。
道隆は早めに昼食を摂り、上小田井駅に向かう。
そこから西春駅まで乗り、降りた。5分もしないうちに、周囲に音がしない事に気づいた。
西春駅バスロータリーには、道隆一人しかいない。
「そこから先は行き止まりだぜ、コスプレ野郎」
振り返った先にいたのは黒いサングラスに、革のジャケットの男。
異能者ではないようだが、以前に感知した事のある気配を放っている。
馬鹿にしたように笑いつつ、一本の槍を取り出す。それに呼応して、道隆の存在感が膨れ上がる。
彼の両手にナックルダスターが出現し、シャツには狼頭のブローチ、首にブロンズのアミュレットが掛かった。
一方、サングラスの男――梅崎康一も武器を装備した。身長より長い柄の先、直剣型の穂先からは短い牙のような刃が、二対生えている。
康一は道を一気に駆け、手にした得物を喉元目がけて突き出す。
柄が折れ、蛇のようにしなり、伸びる。後退した道隆の皮膚の、表皮が裂けた。
「あぁ!?なんだそりゃ」
康一は凄むと、連続で刺突を繰り出す。
道隆は致命傷を防ぐも、右脇、左脛、に穂先が命中。ただし、生地が裂けただけで傷にはならない。
逃げるか……いや、確実に逃げられない。喰らっても致命傷になるわけでもない。
道隆がそう判断した矢先、質量感のある黒が道隆を絡め取る。
周囲が黒一色になった。視界を封じられた道隆は、多節槍で打ち据えられ、闇の中を吹き飛ぶ。
――変身。
変身は出来なかったが、黒が晴れて周囲に街並みが戻る。
道隆は自分が新しい段階――3レベルに達した事を知らなかった。
彼の視線に強度を増した精神エネルギーが乗り、康一の放つ闇を破壊したのだ。
視界が戻った時、ロータリーの風景は一変していた。
アスファルトに亀裂が走り、ステンレスの車止めが木っ端微塵になっている。
サングラス男の姿は無いが、気配は消えていない。そちらに顔を向ける。
彼はシンボリックな時計台の根元から、血達磨となりながら、うっそりと歩み出てきた。
「くそったれ、異能者がァ――!」
殺意を向けられながら、道隆は安堵する。
彼はどう考えても自分が生み出した魔物ではあるまい、この街を作ったのは恐らく、自分以上の力の持ち主。
傷だらけになっているこの男は、犯人ではなくその下っ端といったところか。全容解明には遠いが、少し進展だ。
道隆の四肢が白い燐光で包まれ、夜色の篭手と具足で覆われる。
変身した姿に似ているが、異なる点もあった。グラデーションの消えた両手と両足は青い皮膚に包まれ。両掌と足裏は見覚えのある灰白に染まっている。
目尻でちらりとそれを見た道隆に向かって、康一は槍を腰だめに構えて踏み込む。
視線を向けた瞬間、康一の顔が陥没。同時に道隆の頭部、胸部に黒いエッジが刺さった。精神エネルギーの装甲を破るも、あっという間に砕ける。
しかし、激しい痛みが道隆を襲った。
歯を剥いて苦悶の声をあげ、動きを止めた道隆にしなる長槍が衝突する。
精彩を欠いた道隆の弾き返しを潜り抜けた一撃が、左腰を抉り取った。
赤い飛沫を認めた康一が間合いを詰める。道隆はその直後、拳を彼に叩き込んだ。異能者の肉体と、不可視のエネルギー噴出によるミサイルのような突進。
「はぁぐっ…!」
ありがとうございました。