異変の芽は至る所に
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
眼鏡の少女も電車通学らしい、という点が判明した事も大きい。
この情報は、彼女と一緒にが駅の改札に向かうまで、思い出せなかった。すぐに思い出せる記憶と、簡単に思い出せない記憶があるのか?
道隆は自宅の最寄り駅を2駅乗り過ごしてから、思い出した。
(もう、マジでいい加減にしろよ…)
この場における道隆の自宅は北区平安にあった。千種区若水ではない。
弟妹もいない。あの超常に侵された名古屋が基準になっているのか――家の外観に見覚えはない。
外壁をタイルで覆った切妻屋根の2階建て、 玄関前からは迫り出した四角窓が見える。
合鍵は財布に繋げられている。鍵を開け、ポーチを潜った。
自宅には誰もいない。
確か今日は――両親とも家に帰らない日だ。家はそれなりに裕福であり、"こちらの道隆"は生活費に困った事は無い。
夕食を済ませ、明日の準備をしてからPCで起動。しばらく遊んでいた時、慣れ親しんだ気配が、意識に引っ掛かる。
心を向けると、その輪郭が心に浮かぶ。人型だ、不安や圧迫感を覚えないあたり、楽に倒せる相手だろう。
道隆は家を抜け出し、気配の元に向かう。
時刻は8時過ぎ。人通りは疎らだが、ほんの100mほど北にイオンがある。
騒ぎがあれば、人目につくかもしれない。
(別に戦う必要ないし…)
路地の角から、そっと様子を窺う。
コートを着た人影。上背があり、肩幅が広い――男か。
どの程度闘えるのか確かめてもいいが、明日も早い。どうしようと考えている間、コートの背中は徐々に遠ざかっていく。
(帰ろう)
やるなら顔くらい、隠しておくべきだ。
異変前、道隆は怪物を狩っていたが、それは変身によって人相を隠せたからだ。
今夜床に就いて、目が覚めたら元に戻っていたらいいが、流石に楽観的過ぎる。
道隆は割り当てられた自宅に帰還し、入浴。
それから2時間ほど過ごしてから、就寝。朝になり、すっきりと目覚めた部屋は、牧野母子と共に住むマンションではなかった。
朝食を済ませ、朝の身支度。その間に、道隆の心が重くなる。
(学校行きたくない…)
7月の異変を越えてからずっと、道隆はほぼニート…隠者めいた暮らしをしていた。
予定に追い立てられる事無く、高度な拠点を構築すれば働かなくてもライフラインを用意できる。
これから学校…と考えるだけで、身体が動くのを拒む。
学校で気配感知を展開するが、超常の気配は見当たらない。
体育の時間にバスケをする羽目になったが、道隆は現在の運動能力を、昨夜のうちに確認しておかなかった己の迂闊さを呪った。
元々は運動音痴なのだが、異能者になってからはスーパーヒーロー並みの身体能力を得た。
高校のスポーツレベルが、感覚にないのだ。日常生活レベルと、戦闘レベル。
「……は?」
道隆がジャンプした時、ネットは踝の位置にあった。
目撃者となった生徒達の目線が彼に集中するが、道隆は状況を理解した途端、顔を青くする。
これは目立ち過ぎだ、明日以降の学校生活に支障が出かねない。
「すげぇじゃん、ミッチ!なんでバスケ部入らなかったんだよ!?」
「いや、ルールよくわからないし…」
「えー、もったいない…」
「教えてやろっか?」
ポジティブに解釈してくれた、と道隆は内心安堵する。
在校中は一目置かれたい願望があったな、と懐かしく思い――自分が不思議なほど落ち着いている事に道隆は気づく。
これも街の影響だろうか、そう考えると面映ゆい気持ちは見る間に萎んでいった。
ありがとうございました。