崩壊都市は箱庭に覆い隠された
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
道隆が見当識を取り戻した時、そこは開放的な食堂だった。
左右を見渡すと、制服姿の若者が、いくつもグループを作って、食事を摂っている。
着ているのはいずれも夏服。室内にはクーラーが掛かっていた。中庭に面した壁は一面ガラス張り。
正方形のテーブルが無数に並び、四辺に1人ずつ着席できる。
「どうしたの、ミッチ?」
声を掛けられ、道隆は肩を跳ねさせた。
目の前にいたのは、きつねうどんを食べている制服の少女。
眼鏡をかけており、髪は耳が隠れる程度の長さ。化粧気は無く、肩幅がある……ように思う。
運動部かも知れないと、道隆は推測した。席は2つ空いており、同じ卓についているのは自分だけだ。
「儂の事?」
「他にいないでしょ」
不審そうな少女に、曖昧に返事をしつつ食事をする。
道隆の目の前にはアジフライ定食が置かれており、衣に包まれたアジは、3分の1ほど齧られている。
道隆は居心地の悪さを隠すのに必死だった。いつの間に注文したのか考えた瞬間、2人で食堂にやってきた、覚えのない記憶が浮かんでくる。
ここはどこだ、なぜここに?
疑問は無数に浮かぶ。助けを求めるように思索する度に、答えが何処かから帰ってくる。
そのおかげで少女――石堂由依に話を振られても、問題なく対処できた。
(誰の仕業だ?)
とうとうこの日が来た、驚きはない。
異能者は自分だけではないのだ。100や200ではあるまい、十数万はいても不思議ではない。
その中には、自分を上回る異能者がいても不思議ではない。いや、天使や咲世子といった強力な怪物の仕業とも考えられるだろう。
ますはあちこち調べよう。これ以上の推論は、無限に湧く可能性の一つにしかなるまい。
幸い、午後の授業には問題なくついていけた。
この時に分かった事だが、道隆にはこの学校――雛川学園高等学校の2-Bに通うまでの人生が用意されていた。
両親は仕事の都合で、家を空ける事が多いらしい――まるでアニメかラノベだ。
(儂の能力の暴走…じゃないとは言い切れない)
北区平安の様子を見れば、このような空間の形成も不可能ではあるまい。
そのあたりも調べなければ。気の重い学校時間を終え、荷物をまとめる。
「じゃ、部活終わった後で」
部活、と首を傾げた瞬間、答えが浮かんだ。
彼女は水泳部だ、そして自分は図書委員。大体、17時に一緒に帰っているらしい。
(冗談じゃないんだけど)
とはいえ、いつまでもここにいるかどうかわからない。
無視して帰宅するのは得策ではないだろう。道隆は委員会に顔を出していく事にした。
足が動くに任せ、道隆は図書室の隣、司書室に入る。
眼鏡をかけた短髪の男子生徒と女子生徒2人。それぞれ髪留めをしたショートヘアと、前髪を切り揃えたロングヘア――サイドも長さが揃っているカットとか言うのだったか?
そして司書らしい中年女性がこちらを見たが、奇異とは思っていないようだ。
「どうかしたか?」
恐る恐る空いている席に座ると、男子生徒が声を掛けてきた。
なんでもない、と返事をしたが、声が上擦ってしまう。図書委員って何やってるんだ――?
眼鏡の男子は本を読んでいる。居心地の悪さが高まると同時に、自分を取り巻く様々なものに対して怒りが湧いてくる。
幸い、普段の過ごし方はすぐに思い出す事が出来た、少々ぎこちないが、やる事がなく座っているような事態には陥らずに済んだ。
道隆は17時まで時間を潰し、由依と共に学校を出た。
交際相手――と見ていいだろう。以前は縁が無かった為、悪い気はしないが自分の能力で生まれたものかもしれないと思うと、気持ちが萎む。
それに恋人が突然現れる、という状況は、通常なら詐欺かストーカー以外考えられない。由依が家に上がろうと言い出さなかったのは、正直安堵した。
間取りを直に見た事の無い"自宅"で、落ち着いて振舞える気がしない。
ありがとうございました。