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少女は青鬼の眷属として受肉する(2)/遊ぶ約束を果たしに

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・展開次第でハーレムもあるか?

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 外から見るに、咲世子に異常は起こっていない。

気配の質は変わっているが、以前よりも密度、重量を増した。道隆は飛蝗頭に尋ねる。


(なんで裸なんだろう?)


 道隆の魔物のうち、人間型のものはまず衣服を纏っている。殺人ロボットの映画じゃあるまいし、なぜ?


(血と肉を得たからではないか?)

(今までは違ったってか)

(怪物の死体は消えるのだろう。確たる肉体を持っているとは言い難い)


 つまり、今までは幽霊みたいなものだったと。


(おそらく、疑似的に身体を形作っているだけなのでは?)

(そうか…、心の中に戻せるかな?)


 道隆は心の中で命令すると、咲世子が此方を向いた。


「なに?帰るの?」

「いや、大丈夫。そのままでいい」


 咲世子はそう?と、重く捉えなかった。

識別した効果の通りなら、造物主の命令に逆らう事は出来ないはずだ。

内的世界から呼び出す魔物と似通った気配を放ちながら、咲世子は帰還命令を弾く事が出来る。


(名前か?)

(十中八九、それで間違いあるまい。この少女と我々の間にある、最大の違いがそれだ)


 圭が飛蝗頭に意識を向けている道隆に近づく。


「あ、あの…」

「あ、何?」

「服なら、私のものをあげます。大人より、サイズ近いと思うし…」


 圭は俯き、目を合わせようとしない。

彼女のことはあまり知らないが、言っている事には一理ある。あまり関わりたくなかったので、教えられるまで気づかなかった。


「じゃあ、お願い。代金分は出ないけど、お金出すから」

「いえ、お金は結構です…」

「いや、遠慮しないでいいよ」


 お金で済ませる方が、後腐れなくていい。

視界の端で早苗を見る。向こうに気づかれたようだが、何も言わない。

秘密基地に転移した圭が姿を消すと、その場には早苗と夏姫、咲世子と白貌の養護教諭が残された。


(いいよなー、こいつ。喋らなくていいし)


 会話を負担に感じるタイプなので、このまま沈黙が続いてほしい。

道隆は取り留めのない思索の中で、浜松で見かけた食人怪物を思い出す。あれは結界を乗り越えた事から、県内に出没する怪物とは別口。

結界を通り抜けられる肉体を持つもの――誰かが作ったのだろうか?早苗が放った実験体であるのだが、その事実には思い至らなかった。


 咲世子は上着で上半身を隠しながら、周囲に視線を走らせている。

裸は恥ずかしいのようだ。普通の子だな、と考えた直後、ある事実に思い至った。


(これ絵面ヤバくない!?)


 NPCとはいえ、警察もいれば通行人もいる。

警察署は集落内に無かったはずだが、交番はチェックしていない。

通報されたら飛んでくるだろう。周囲にいる女達は、自分をかばうだろうか?


 じれったく思いながら、道隆は小一時間圭を待つ。

そもそもここで待つ必要ないよな、と思った彼がその場を離れようとした時、圭が姿を現した。

希望通り、衣服を一式用意してくれた彼女にその場を任せ、入れ違いで公園から出ていく。

前の道を進み、角の駐車場に座り込む。周囲に通行人はいない、ぼんやりとしたノイズが遠くから聞こえてくる。


(ちょっとうるさい…)


 住人がいる方が、整備された社会の方が便利なのは確かだ。

しかし、感情面においては違う。自分以外、誰もいない方が歩きやすくて静かでいい。

自分でも矛盾していると感じるが、人間なんてそんなものだ。


 公園から気配が一つ出てきた。

咲世子の着替えが終わったのだろう。道隆が戻ると、咲世子はゆったりした衣装に身を包んでいた。

中学生と小学生相当とはいえ、サイズが大きすぎるという事は無いように思う。

亮典も服を持ってきてくれたが体格に合わなかった、それに本人が気に入らなかったそうだ。


「走り回っている内に脱げることは無いと思うけど、ショップでサイズに合った服を買った方がいいわ」

「わかった。ありがとう」


 咲世子から上着を受け取る。彼女は今すぐにでも、遊園地に行きたいらしい。


「何処に連れて行くの?」

「え、USJ…」

「そう。そっちの白いのも連れて行くつもり?」


 早苗は興味なさそうに尋ねる。

その一言は、氷水を浴びせられたような衝撃を道隆に与えた。

咲世子に顔を向けると、彼女は養護教諭らしき怪物と、何事か話している。


「先生、お留守番してるって…」

「そうか。ごめん、無事で連れてくるから」


 道隆は白貌に向かって、小さく頭を下げる。

正直言って、同行すると言い出さなくて助かった。道隆はキャラメル色のクラシックカーを呼び出し…私物がシートを占領していたので、荷物を別の怪物に移す。

人に見られて不味いものは物体収納の魔物にしまってあり、こっちに乗せていた品物の数は一抱えで持てる程度だ。


(あー、面倒くせぇ)


 自動車から顔のある木箱に品物を運び終えると、ようやく出発の段となった。

クラシックカーの機能で空間を移動し、付近のユニバーサルシティ駅近くに跳ぶ。

通常の自動車で無い為、駐車スペースに停める必要がない。2人は何食わぬ顔で、入場口に向かった。


ありがとうございました。

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