炎を担う処罰の天使(1)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「敵が来ます。準備してください」
悩む暁に、女の声が掛かる。
盾を背負い、翡翠のラインが走る甲冑に身を包んだ女性の魔物が傍らに現れた。
「敵って…なんか来てるか?」
「結界を守護する我々の同胞が言うには、三対の翼を持つ大天使だと」
シャットダウンし、着の身着のままで外に出る。玄関から飛び出すと、亮典と出くわした。
「暁、天使が来たって」
「俺も聞いた!で?」
「気配を発さない体質を持っているらしく、貴方達では補足するのは難しいそうです」
「場所は?」
「同胞が教えてくれますので、案内します」
四足獣に変化した暁の背中に、亮典が騎乗。
羊頭は外皮を脱ぎ、弾丸となって街を駆ける。その前を甲冑の女は走った。
少し悔しく思いながら、亮典が一呼吸する間に青い甲冑の天使――クシエルに接敵する。
大天使が右腕を持ち上げると、日がほとんど沈んだ空が昼間のように輝いた。
亮典と暁は、道隆から託された魔物を呼び出す。
黒雲に乗る老翁、真紅の鬣を生やした妖獣、3種の動物の混合物、通りの幅いっぱいに広がる四足の城塞……青い大天使は、あっという間に包囲されてしまう。
クシエルは囮役の騎士達を連れてきていたが、集落を護衛する魔物達によって、着実にその数を減らされていた。
「いけない!」
甲冑の女は曲剣を取り出すと、鋭く振り上げた。
クシエルが掲げた右腕が振り下ろされると同時に、青白い炎の杖が出現する。
燃える杖はしなり、弧を描いた。クシエルの巨大鞭と甲冑女の曲剣がぶつかり、金属を打ち合わせたような音が鳴る。
「――ッ!?」
鞭を包み込む炎が消える。
クシエルの右手は人間に似たそれから、一瞬のうちに十数の節を持つフレイルに変形していた。
棒の一つ一つは、大天使の腕と同じ太さ、前腕と同じ長さを持っている。女の曲剣は、右腕の鞭を難なく両断した。
甲冑女――封印剣の魔物は中空でさらに踏み込み、クシエルを斬りつける。大天使は円の動きで回避するが、横殴りの斬撃のほうが速い。
青い胴鎧が裂け、鮮血が舞う。
甲冑女を炎で焼くと共に、剣を振り抜いた隙をつき、クシエルは斬り落とされた腕に呼びかける。
封印剣の魔物は青白い炎で包まれるも、紫色の魔物がすぐに鎮火させてしまう。
不可視の拳が、クシエルを四方から打つ。
四足獣と化した暁の、束ねた風だ。亮典を背中に乗せていなければ、巨体を活かした体当たりを見舞っていただろう。
兜と言わず、脛当てと言わず、あちこちに罅を作ったクシエルだが、幸いにも甲冑女から距離をとる事が出来た。
落下する鎖は炎となり、クシエルの右手に戻る。
身体から目晦ましに炎を吹きつけ、封印剣の騎士との間合いを広げた。
青白く染まった空に、燃える流星が上昇していく。
「魔術師よ!偽りの神と交わる異端者よ!煮えたぎる墓穴に落ちよ!」
視界が毒々しい紅に包まれる。
暁と亮典、および彼らと仮契約を行った12体が集落から消えた。
視界の赤が晴れた時、少年達は煮えたぎる赤い海の上に浮かんでいた。
天を仰ぐと、黒に近い紫の空が、眼下で仄かに光る海に照らされている。暁の鼻腔を、鉄の臭いがくすぐった。
「ぬぅ…、我が理力を妨げるか!忌々しい」
「どうなってるの、街は?」
羊頭獣に跨った亮典が呟く。
風を操ることで、彼らは真紅の海に落ちずに済んだ。
仮契約の魔物達も、飛行能力のないものは、飛べるものにとりついて凌ぐ。
ありがとうございました。