暁の心の爪痕
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
コントローラーを操作する暁の前で、盾と長剣を装備したキャラが走っている。
薄暗い洞窟内で、走る度に水音が立つ。彼の指の動きに反応し、遭遇した敵性キャラの攻撃を避け、斬りつける。
昔購入したゲームを引っ張り出し、プレイしているのだ。
画面を見つめる表情は暗く、心ここにあらずと言った様子。
楽しくはあるが、情熱はない。義務感でもない。逃避を目的に暁はコントーターを握っている。
独りでいると、昔の事を思い出してしまうから。
空を怪物の群れが埋め尽くした頃、暁はこの世の終わりを予感した。
終わったのは自分の住んでいる名古屋、および愛知県だけだ。街は廃墟同然になったが、不思議な力を得た市民達が住む場所をこしらえた。
両親は我先に逃げ出し、息子の自分には見向きもしなかった。牧野親子がいなければ、完全に孤独になっていたのではないか。
学校は停止した。生活の何もかもが変わった。悲しく、苦しかったが、こんなものは序の口だった。
この世で最も不潔な男が近所を襲い、若い男女を捕まえた。
彼らは見た目のいい男女を、自分の楽しみの為に囲う。暁も選ばれてしまった。
男――ボスが、初めて自分の中に入り込んだ時の事を、暁は一生忘れないだろう。
犬のような姿勢で、唇を噛みながら、屈辱と痛みに耐え続けたのだ。
プライドで命は繋げない。トラックの荷台に積まれて運ばれていく人の群れを見たなら、抵抗しようとは思わない。
暁の眼は大きく、顎は細く、鼻筋は通っている。
体毛も少ない。もともと女の子のようと言われるのが嫌で、不良の様なファッションをして、言動も威圧的にした。
初めての行為から解放された時、寝床に帰る途中で尻から何かが垂れていく感覚が暁を襲った。このような容姿を与えた親を恨んだ。
異能者に覚醒した頃、道隆がやってきて平穏を得る事が出来た。
ようやく何もかも終わったのだが、あの男は死してなお自分を縛り付けるつもりらしい。
以前ほど、杏子に興味を持てなかったのだ。自分と同じくらいの子供を持ちながら、くびれたウェストと豊満な乳房を持つ彼女。
同級生の母親の中では、一際若やいだ杏子に――多分、恋をしていたのだ。
しかし、今はもう大した思い入れはない。そんな事より、股の後ろが寂しい。
――自分は男でなくなったのか?
年上の男を見ると、身体が疼く。
興奮しているのではない。嫌悪もあり、自分のものであれ、男性器を見るのは辛い。
しかし、痛みと抽送を求めている自分を暁は感じてもいた。病気なのかもしれない、と考える事もある。
ゲームを始める少し前、道隆からメッセージが届いた。
ちょっとダンジョンに潜るので、街を防衛してほしい。それとともに、自分と亮典に8体ずつ、魔物がつけられた。
街を警戒する魔物とは別の、天使を迎え撃つための戦力だそうだ。彼らの父親が帰るまでの間、自分達の命令を聞く契約。
その中には、人間の男に似た魔物もいた。命令してみようか?
(いや、どうせなら…)
ちらりと頭の端に浮かべた考えに、暁は怖気を受ける。
自分は病気なのか?あの山猿以下の男に、完膚なきまでに心を壊されてしまったのだろうか?
汚らわしい。汚らわしい。あの男も、道隆も、、亮典も、自分も。
ありがとうございました。