咲世子のダンジョン初体験(3)
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
彼女の呪詛を防ぐ方法は、主に二つ。
それ自体を意に介さない防御力を持っていること、そもそも命中しない事。
しかし、彼は第3の方法を提示した。
「――ッ!」
イシュタムを睨みつけたまま、道隆は突撃。
その身体は霧に変化し、体の内外で稲妻を循環させる――一個の雷雲と呼ぶ方がいいか。
道隆は霧の身体で呪詛をすり抜けると、数十の雷電を女神に向かって放出。
幾重にも並べられた銃列のごとく、隙間なく廊下いっぱいに広がった閃光により、イシュタムの身体に熱傷が刻まれる。
咲世子は眩い閃光に怯むことなく、一言呟く。
するとイシュタムの身体から、パワーが瞬く間に抜けていく。物質世界から女神の一部が剥がれ、精神エネルギーが霧散する。
死神が再び呪詛を唱えた時には、道隆を捉えることが出来ないほど、神力が落ちていた。
「貴方、今何をしたの?」
「お姉さんの力を減らしたんだよー、すごいでしょー」
「彼を楽園に連れていけない!貴方もこんな場所にいないで…」
「何言ってんの?お姉さんがお兄さん殺しても、面白くならなそうだもん」
保険教諭は飛び掛かり、爪で斬りかかる。
イシュタムは最低限の動きで側面に回り込み、白貌に掴みかかろうとする。
首を括られた女神の指が触れるより早く、虚空から出現した雹の雨がその身体に降り注いだ。
「先生駄目だよー。このお姉さんすごく強いもん。ま、私達ほどじゃないけど」
咲世子の視界に、イシュタムの心臓を抉る夜色の怪人が映る。
死神はすぐには活動を止めず、涼しい息を面頬に吹きかけたが、彼女が期待した効果がもたらされることは無かった。
道隆は息が吹きかけられるのとほぼ同じタイミングで、稲妻を体内目がけて放っていた。
イシュタムが密着している道隆に膝蹴りを放つ。
腹に突き上げるような衝撃が襲うが、その威力は弱い。咲世子の呪詛により、筋力が減退しているのだ。
噛みつきを試みた女神の顔に、道隆は肘を叩き込む。
イシュタムはほとんど捨て身で、道隆に死の呪詛を放つ。
持てる限りの力で抱擁してはなったそれは、夜色の装甲から放たれている精神エネルギーに掻き消される。
その直前、咲世子が言霊を放っていたのだ。巨大結界の護りもある。二段階能力を低下させられたイシュタムの術では、もはや道隆を捕まえることはできない。
さらに三度の打ち合いを経て、軍配は道隆一行に上がった。初見では焦ったが、終わってみると呆気ない――いや。
「ありがとう」
「なにがー?」
「いや、助けてくれたじゃん?最初にあいつが両手を広げた時に…」
「どういたしまして。貸し一つねー」
楽しそうに言う咲世子に、道隆は短く答える。
お菓子でもあげようとすると、今は要らないらしい。"貸し"で何かお願いでもするつもりだろうかもしれない。
彼女が頼りになる事は分かったし、なるたけ聞いてあげようと道隆は思った。
「ふぅあ――」
保険教諭が顔を近づけると、眠いと少女は答える。
見かけはともかく、咲世子は普通の少女ではない。疲れた、というよりは消耗しすぎたのだろうか?
道隆も集落の様子が心配だ。今日はここで帰ろうと提案すると、残念そうに見つめてきたが、駄々をこねる事無く後ろからついてきた。
(父上、天使の襲撃だ)
(え!?)
裂け目から出た瞬間、環境改変の魔物から声が掛かる。
薄々予想していたとはいえ、いざ事が起こると、道隆も驚いてしまう。
瞼の重そうな咲世子を保険教諭に抱えてもらうよう頼み、彼らは北区平安に急行した。
ありがとうございました。