潜入調査-丸の内の天使教会-
趣味で書き始めました。
「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。
読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・展開次第でハーレムもあるか?
・デスゲームなし。
・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。
・キモイ主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
発信器を仕込んだ省吾は、白い装飾品を身に着けた炊き出しの列に並ぶ。
場所は瑞穂区の公園。集まった人々を守るように、中級天使が警備にあたっている。
ジャガイモやニンジン、豚肉など具がたっぷり入ったポークカレーを、プラスチックの皿にもらう。
味に違和感はない。温かく、旨い。平らげてから、教会が用意したゴミ箱に捨てると、信者の男を捕まえる。
「入信希望なのですが…」
「そうですか。では、炊き出しが終わった後で手続きを行いますので、残っていてください」
50分ほどで炊き出しは、用意していた100食分のカレーを配り終える。
撤収作業を始める横で、省吾たち入信希望者は呼び集められた。省吾を含めて15名。
彼らには用紙が配られ、名前と住所、入信を希望する理由を記すよう求められる。
10分ほどで用紙は集められ、希望者達はバスに乗せられた。
(ガソリン――いや、電気自動車か?)
バスはやがて、高架のすぐ側に設けられた白亜の宮殿に侵入した。
東の門からまっすぐ進むと、礼拝堂や事務室を収めた5階建ての聖堂。南に菜園や牧畜場、北には巨大な宿舎。
宿舎の西には武道場があり、信者が剣術や体術の技量を磨いている。男子寮と女子寮に分かれており、白金の獅子が狛犬のように入り口に身を横たえていた。
バスは聖堂の前の、車止めに止められる。希望者達は、聖堂の1階にある会議室に集められた。
「皆さんはまず、月の位が与えられます。祈りながら働き、此処に集った全ての人を、兄弟としてください。質問が無ければ、次に進みます」
「天使様には、いつ会えるのですか?」
「天使様にお目通り叶うのは、火星の位に入ってからです。月の位は、聖堂の一階までしか立ち入りできませんので、注意してください」
続けて生活スケジュールが説明される。
起床し、菜園や牧畜場で労働、就寝。その間に食事や入浴、講話や読書の時間が設けられている。
自由時間も設けられているが、おおむねスケジュール通りに暮らす事になる。炊き出しなどイベントが挟まれる場合は、最悪2日前までには知らせるそうだ。
(正攻法だと時間がかかりそうだな)
しかし、潜入を決行するのはまだ早い。内部の間取りを頭に入れなければ。
一階にある図書室、事務室、礼拝堂、トイレの位置、菜園と牧畜場と武道場を案内された一行は、宿舎の管理人に引き渡された。
部屋を割り当てられ、同室となった男と共に向かう。部屋に置かれていたのは、二段ベッドに一人一台の事務机、共用のクローゼット。
トイレ、風呂、食事は共同。
「なぁ、あんた」
「どうした?」
「あんた、なんでここに?」
「人材派遣コミュで働いていたんだが、キツクてな」
「そうか。一般人じゃ、高が知れてるだろうしな」
男は納得したようだ。
「そっちは?」
「俺か?俺は、エデンに暮らす為な」
「エデン?」
「なんだ、知らないのか?」
男は呆れた様子で、説明を始める。
エデン、というのは「天使の座」がダンジョンの深層に建設予定の都市の事だ。
そこでは異能者や怪物に脅かされる事なく、平和に暮らせるのだという。
完成後、信者はそこに集められる。男は市民の権利を得るために、教会に入ったのだ。
翌日から、作業が始まった。
朝早く起床し、菜園や牧畜場で生産業に従事する彼らを、厳めしい表情の信者が眺める。
銀の甲冑に身を包み、羽の装飾を背中につけた様は、四枚羽の騎士に似ていた。
★
聖堂の最上階の広間で、3つの人影が向かい合っていた。
「カマエルが帰らない…」
「あぁ、ここより北東で、気配が消えた」
「確かめるか」
「確かめよう」
固まって座る人影の、1つが立ち上がる。
「私が出よう」
「事を構えてはならん。もう1月あれば、我々は真の名で活動できる」
「承知した」
人影がローブを脱ぎ捨てると、青い甲冑の大天使が現れる。
火のカマニディールは広間から屋上に出ると、ふわりと宙に舞い上がった。
ありがとうございます。