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北区平安に新入りを入れますか?-屍鬼の住む学校-(4)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 集落の外は、ゾンビ映画さながらだった。

これまで出現する怪物は翼があったり、トカゲだったり、てんでバラバラだったが、今はアンデッドで統一されている。

唸り声を上げながら歩く死体の行列。道隆は気配感知を広げ、最も強い点に直行する。

万が一、感染させられないように、走りながら怪人に変身した。


(小学校か)


 六郷の交差点に面した小学校。

北に校舎、南にグラウンド。グラウンドの東にプールと体育館。

近づくにつれて屍の数が増え、道隆は変身せざるを得なかった。

門は開けられている。歩き回るゾンビ達は、道隆を見ると一斉に走り寄ってきた。


(生徒…だよな?)


 身長は高くとも道隆の胸までしかない。気分が悪い。

小さな手が掴みかかるが、俊敏さの桁が違う為、道隆を捕まえることはできない。

教員らしいゾンビの群れを突き飛ばしながら、一階の廊下を走り抜けた彼は保健室の扉を開けた。

書類が収まっているらしいグレーの戸棚に薬品棚、生徒向けと思しき注意書きの張られた仕切り板。

保険教諭が座っていたのだろうデスクには、図書室から持ってきたのか大量の本が積まれている。


 壁に頭をつけたベッドに、長髪の少女が座っていた。

英字のプリントされたTシャツに、タータンチェックのスカート。

みた所異常な点は無いが、発している雰囲気は怪物のそれだ。中身も同様、変身した道隆をしげしげと眺めている。

少女はベッドから腰を上げ、近づいてきた。


 その様子を、白衣を着た女が見ている。

肌は陶器のように白く、眼は赤黒い。頭髪の代わりに、8本の角が生えており、足元に向かって弧を描いている。

生気の無い顔は人形のようで、彼女は冷たい目で道隆を見つめる。


「お兄さん、お化け?」

「いや、人間だけど」


 道隆が変身を解くと、少女は目を丸くした。


「本当?…よかったー。ここお話しできる人いなくて暇なんだー。ねぇ、一緒に遊ばない?」

「え?」

「嫌?」

「嫌じゃないけど、何して遊ぶの?」


 思わず聞き返すと、少女は唇を尖らせる。

ヤバい、と道隆は感じた。睨まれた瞬間、腕がちぎれそうなほどの重圧が圧し掛かるなど、異能者相手でも感じた事がない。

口元に笑みを浮かべているが、目に喜色が浮かんでいなかった。

他人への興味が薄い道隆とはいえ、恨みの無い相手を殺そうとは思わない。面倒臭いのは事実だが、それだけで殺意まで抱くことはできない。


「なんでもいいよー。おままごとでも、鬼ごっこでも、人形遊び…は男の人だから駄目かなぁ、ドッジボールはどう?」

「…2人でドッジボールは無理じゃない?キャッチボールとか、かくれんぼとか」

「じゃあキャッチボールしよう。道具取りに行こうよ」


 少女は手を引き、歩き出す。


「…いいけど、初めて来たから道具の場所わかんないよ。よかったら家来ない?」

「えー、何それナンパー?」


 予想だにしない提案に、少女は立ち止まった。

不快に思っている様子は無く、面白そうに道隆を見ている。

高校の頃まで通っていた少林寺拳法の道場で見てきたような、年少の子供のように笑っている。


「ナンパじゃなくて、近所に3人、中学生くらいの男の子2人と、片方のお母さんが住んでて…」

「女の子の友達はいないの?」

「え?えーと、中学生くらいの子が一人」


 早苗達を、友達に括っていいのか分からないがとりあえず返事をする。

少女は知人に自分を紹介する事を条件に、同行を認めた。

当たり前のように手を繋いできた少女に、内心怯えすら感じつつ、道隆は声を掛ける。

その後ろから、マネキン顔の保険教諭がついてくる。


「ところで、名前は?」

「咲世子!」


 3人は連れ立って、保健室を出た。

途中、何体ものリビングデッドとすれ違うが、彼らは咲世子を見るや、恭しく前を開ける。

隣の少女はその反応に、違和感を抱いていないらしい。


「こいつら…」

「私のお友達。たくさん増やしたんだけど、先生しか話してくれないからつまらないの」

「ふーん」


 予感はしてたが、やはり咲世子の手下か。

咲世子の放つ気配は、グラウンドをうろついている連中とは訳が違う。


「ここにいるお友達って、大人しくさせる事って出来る」

「みんな大人しいよ?」


 不思議そうに言う咲世子にどう説明したものか、道隆は迷う。

彼はひとまず屍鬼の行列の始末を後回しにして、咲世子を連れていく事にした。

歩いていくと時間がかかりそうなので、背負って走る――のは気が咎めた故、黒馬に同乗させた。

咲世子を自分が受け持ち、保険教諭のゾンビをケンタウロスに任せて、彼らはバリケード目指して疾走する。


ありがとうございました。

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