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北区平安に新入りを入れますか?-ヴェパル討伐-(3)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 ヴェパルが腕を振るうと、毒気を帯びた衝撃波が奔った。

並ぶタンクに亀裂が走り、薬液が漏れる。衣服が破け、血が噴き出す。

貯蔵されていたのは次亜塩素酸ナトリウムや苛性ソーダ。現実の環境でないゆえか、薬液は足元を浸すだけで如何なる反応も起こさなかった。

変身した異能者すら呻く威力。千鶴が隠れた貯蔵タンクは真っ二つになり、全身が薬液まみれになる。


 無愛想な男も巨大な斬撃を浴びたが、ほとんど傷を負っていなかった。

いや、見逃しただけで避けたのか?胸をさする彼は、足をバネにして飛び上がり、左腕でジャブを繰り出す。

ろくに体重の籠っていない拳打だが、ヴェパルの右肩を抉り取るには十分な威力があった。


 千鶴はヴェパルが動きを止めた一瞬を狙って、リボルバーの引き金を引く。

メリケンサックの男は弾丸の軌道を振り返ることなく、位置をずらす。ヴェパルの左手に命中。

このあたりで、他の4名も少しづつ男の戦闘力に気づき始めたらしい。表情でわかる。


 ヴェパルは口から、黄色がかった瘴気を吐き出した。

瞬く間に貯蔵室中に広がった粒子を吸い込んだ千鶴は、息苦しさを覚えると共に、咳き込みだす。

中には鼻水、発熱に苦しむ者もいた。風邪をひいた経験はあるが、異能者となって以来、体の不調を感じたことは無い。


 唯一、健常でいられたのは道隆のみ。

異能者として成長した事で、病や毒に対する耐性を獲得しているのだ。

汚染された環境での活動力において、並みの異能者より頭一つ抜けている。


 彼がここまで変身を行わなかったのは、4名を警戒しての事だ。

好き勝手に杭を撃ってきたが、あれは威力が高すぎる。砲撃態も同様。

印象に残りたくない。コミュニティに自分の情報を広めてほしくない。だからサボりと思われない程度に戦っていたのだ

判断を変えたのは、ヴェパルが斬撃を放った時。自分を残して、軒並み傷を負った。


(ズボン汚れたんだけど)


 液体が靴の中に染み、ソックスが湿って気持ち悪い。

道隆は夜色の怪人に変身。その移動速度は異能者の目ですら動きを追うのが難しい秒速300m。

少林寺拳法をベースとする拳打のスピードは、ライフル弾に等しい。ヴェパルは成す術なく、赤い肉片と液体を四方にまき散らして、消滅した。


 その後、浄水場側がダンジョンの管理者となる事で事態は静まった。

それぞれ報酬をもらい、家路に就く。千鶴は男を追いかけようとしたが、いつのまにか姿を消していた。

紀里野、というて手掛かりを得られただけで良しとしよう。千鶴は鉄靴の異能を開帳、超高速で浄水場を後にした。

浄水場側が連絡したため、派遣コミュが迎えをよこすはずだが、報酬を得た以上待つつもりは無い。


 道隆は瞬間移動で、北区平安のバリケード前に舞い戻った。

その視界に人影が入り込む。頬の肉が落ち、歯茎を剥きだした老女。

身体を前後に揺らしながら、ぎこちなく歩いていく。周囲には幾つも気配があり、道隆はそれらに近づかないよう家屋を飛び越えていく。

バリケードに顔色の悪い若者や、唸り声をあげる小学生が近づくも、内的世界の魔物達によって撃退されている。


「よぉ」

「あぁ…」


 暁が待っていた。


「外に居る奴ら、見た?」

「うん」

「ゾンビみたいな奴」

「ゾンビ…」


 北区平安の噂話も聞かなかったし、報酬も得た。

しかしその満足感も、外の行列のせいで見る間に萎んでいく。

とはいえ、正午前の集落内では黒い幽霊が行き来している為、雰囲気は似たようなものだろう。


「あれ、何とかならない」

「別にいいだろ。ほっとけばいいじゃん」


 徘徊する怪物など、今に始まった事ではない。

気配感知によって動きを読む限り、壁を乗り越えてくる様子は無い。


(いや…)


 他所の目についたら不味いか。

討伐依頼など出されて、異能者がこの近くにやってきたら、名古屋の勢力図に組み込まれてしまう。

道隆は集落の警戒を頼み、バリケードの外に出た。


ありがとうございました。

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