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北区平安に新入りを入れますか?-東部浄水場奪取-(2)

趣味で書き始めました。

「先日、僕らの街が終了した件について」の続きです。

読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムなし。

・デスゲームなし。

・俺tueeeは少なめ、チート能力は多め。

・キモイ主人公。

・読みづらい。

・残酷な描写や暴力表現あり。

・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 僅かな不安を自覚しながら集落を出た道隆は、瞬間移動でコミュニティが指定した天白高校東交差点近くに急行。

募集人数は5名。悟られないように――気配感知ができる以上、視覚的な意味しかないが――数十m離れた場所に現れた道隆は、マンションの間を軽々と飛び越えて、ロの字型の歩道橋の内側に駆けつける。

道隆は4人目だった。カジュアルな格好の男女3名に混じって、ビジネススーツに身を包んだ中年女性がいる。


「紀里野です」

「はい。では、そちらに。あとは…」


 最後の一人は間もなくやってきた。

サークル状のヘアピンで茶色に染めた髪を留めている少女。

少女は控えめな顔で、馬飼と名乗った。最後の少女――馬飼千鶴を確認すると、中年女性は弾んだ声を上げる。

この場にいる全員が異能者である。募集に応じた5名の瞳に、周囲を警戒するような色を見て取れるが、これは道隆の気のせいではないはずだ。


「それでは皆さん、出発しまーす」


 6名を挟むようにに、2匹の魔獣が召喚される。

見上げるほど大きな体格を持ち、角は頭上の歩道橋に刺さりそうだ。

容姿はほぼ同じだが、東側に現れた個体の方が角が小さい。

その点に関する説明は無く、中年女性は5名に騎乗するよう促す。


(送迎するって事か?ワイルドすぎるだろ…)


 道隆のほか、一人の男がそれを辞した。

召喚物を持っている為、初対面の連中と同乗する必要がない。

また、髪は灰色に染まっており、異能者でありながら眼鏡をかけているのが、少し気になった。

身体能力が向上する異能者に必要なものではないはずだが?


(ま、どうでもいいや)


 道隆は青い瞳を持つ、黒い駿馬に跨り、空を駆けていく。

その足元で、眼鏡の男も黒光りするジープを呼び出した。厚いタイヤは生き物のように動き、障害を飛び越えて猟犬のように走る。

彼らは15分足らずで尾張東部浄水場に到着。異能者の足なら20分かからないが、道中で現れた怪物を蹴散らして進めるのは、気持ちがいい。


「それでは依頼が達成され次第、送迎の準備に入りますので。皆さん、頑張って!」


 女性は魔獣を連れて去った。敷地に入ると、迷彩服の兵士達に出迎えられる。

私服やスーツ姿が混じっているが、これは異能者らしい。

派遣の自分達とは違うのだろうか?と訝ったが、道隆は口に出さなかった。

入口の見当はついているが、職員を警備するので手一杯らしい。中年女性が帰ると早速、5人は管理本館に直行した。


 裂け目は白塗りの2階部分、廊下に現れていた。

宙に舞うサメが氷雪を放ち、突入した異能者を凍り付かせる。

派遣されたメンバーがアイテムの刀剣を振るい、岩のようにふしくれた牛頭人に変身して殴打する中、道隆はメリケンサックをはめた拳でマンティコアの眼を抉る。

槍のように繰り出されるサソリの針を避ける道隆に、千鶴は視線を合わせる。勢いこそ控えめだが、敵の攻撃を一発ももらっていない。


(手から何か出してるのかな?)


 素手に近いためリーチは短い。拳は空を切ったはずなのに、妖獣の身体が壁に投げつけられた果実のように爆ぜる。

また、動きが他の3名より抜きんでて速い気がする。チームワークなど存在しない烏合の衆。彼は4人などいない者のように、裂け目に侵入した。

千鶴もそれを追って、裂け目に入る。神速をもたらす鉄靴と透明化を得ているとはいえ、それだけで順風満帆とはいかない。

破壊力のある異能は持っておらず、武器は無限に弾を吐き出すリボルバー1丁のみ。


 避難する途中、家族は千鶴を残して死んだ。

怪物の群れに襲われ、逃走に長ける異能者であり千鶴だけが生き残った。

自分は中学生。親戚との付き合いも無い――降って湧いた力だけを頼みに、この街で生きていく事にしたのが、この夏。

戦闘力のある異能者とは、なるべく知り合いたい。彼は徘徊する怪物達が放つ冷気や暴風をものともせず、なにかしらの力を帯びているらしい鉄拳で打ち砕いていく。

表情に乏しい短髪の男。小さく開かれた瞼は重そう…なんという名前だろう?


(案内してくれた人に聞いておけばよかった)


 異空に飛び込んだ5名を、通路いっぱいに埋め尽くす巨体が出迎える。

サーペントが大顎を開き、派遣チームをかみ砕かんと迫るが、戦闘力に自信のあるチームなので、凌ぐのは難しくない。

5名は最も気配の濃い薬品貯蔵室に踏み込む。浄水に使う薬液を溜めた銀色の筒の間に、ダンジョンの主と思しき怪物がいた。

エメラルドの鱗を持つ人魚。上半身は切れ長の瞳を持つ美女。釣鐘型の乳房を惜しげもなく晒している。

切っ先の平らな曲刀を持つ赤帽子に誰何された人魚の女は、ヴェパルと名乗った。

ありがとうございました。

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