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無限大図書の底  作者: うにくらげ
私とゲームでも
9/18

帰れますぅ?





何かあったのだ。この上には文章が書いてあったのだ。でも俺は消した、無かったことにした。忘れた方がいいこともある、覚えていた方が良いこともある。でもそれ決めるのは誰だ?







「おーきーなーさーいよ。」


何処かで聞き覚えのある声で俺は目を覚ました。まだ、ぼお~とする中、目をごしごし擦るとぼやけていた視界がはっきりとしだす。最初に目に入ったのは、横たわっている俺の横に座っているイラナ。次に見えたのが【敗者の世界へようこそ】と垂れ幕を垂らす飛行船。そして、微かにする花の匂い。


「ここは、花畑?俺は死んだのか?」

「お、察しがいいわね。大正解よ。」

「なぜ、イラナがここに?アルは?」

「アルなら先に帰ってきたわ。私は、アルに「イラナのせいで貴方がバベルの塔に送られたんだから、最後ぐらい迎えにいってあげてね(笑)」なんて言われちゃったし。」

「、、まぁ実際にイラナのせいですし。で、死ぬ前の記憶がないのですが?」

「あぁ~うん、そうね、聞きたい?」


スムーズに話し始めないあたり何か嫌な予感を感じる。俺が聞きたい!というのをためらっていると、遠くから車輪の音が聞こえてきた。イラナに肩を借りて立ち上がり、音のする方向を見る。数秒もしないうちに茶色のユニコーンが見えてきた。そして、数時間前会った時と同じように俺らの前でピタリと止まった。同じでないことといえば、かなりお疲れのようだ。


「はぁ、、にーちゃんも確か2回目だな。たく、今日は同じ人を何人乗せればいいんだ、、。ねーちゃんは初めてだな。」


それも、そうだろう。塔の中で何人が死んだのだろうか。最初の爆発で3人ぐらい灰になっていた気がするし、そのあと3分おきぐらいに誰かしら爆発音とともに死んでいた気がする。もし、このユニコーンが1匹しかいななら、ここと塔を往復するのはかなり疲れるだろう。


「たぶん、今日は私達が最後よ。もうバベルの塔が閉まるからね。」

「お~そうか、もうそんな時間かねーちゃん。お、何処かでみたねーちゃんかと思ってたら、5年前の常連じゃないか、久しぶりだな。」

「そうねぇ、、最近は本ばっかり読んでるわ。」

「いいじゃねーか、こんな所で賭け事するより。よし、じゃあ最後の仕事だ。いくぞ、二人とも早く乗った乗った。」


俺とイラナは馬車(馬じゃないけど)に乗り込むと、茶色のユニコーンは走り出した。馬車に揺られながらふと空を見ると、青かった空が赤く染まっていた。綺麗な夕焼けを見ながら俺は思う。この馬車乗り心地はやっぱり最悪だ。ガタガタと車輪が石にあたるたびにお尻が痛い。イラナはどうなのかと横をチラッと見る。


「え、、?ずるくない?」


イラナのお尻の下にはふかふかして、座りごこちが非常に良さそうな座布団が敷いてあったのだ。これはずるい、さっきまでそんな物持っていなかったのに、何処から出したんだ。俺の言葉に、イラナはえ?とした顔になったので、ちょんちょんと座布団を指さす。


「これ、これだよ。」

「あ~これね。世話係が出してくれたんだけど、、貴方もしかして知らなかったの?」


図書館外でふわふわさんを呼べるなんて聞いてないぞ。というより、ふわふわさんって一体どんな存在なんだろうか。まぁ、便利だしいいか。パチンッと指を鳴らしてふわふわさんを呼ぶ。


「ふわふわさん、イラナに渡したのと同じ座布団を出して。」


ふわふわとした何かが、ふわふわと俺に座布団を何処からか運んできてくれた。そして、すぅーとまた音もなく何処かに消えてしまった。俺はさっそくお尻の下に座布団を敷く。さっきまでとは比べ物にならない快適さが俺の包み込む。


「そう、これだよこれ!あぁ~これはいいわぁ~」


馬車はガタガタ、ゴトゴトと進む。2回目だからなのか、最初と比べるとかなり早く着いたような気がする。暗闇にうっすらと虹色に輝く塔が見えはじめた。昼間の綺麗と感じた虹色とは違い、なぜか暗闇で不気味に虹色が光る。






塔の前につくときには完全に周りは暗くなっていた。茶色のユニコーンを俺とイラナは手を降って見送った。よし、やっと帰れると意気込みを入れ扉を押す。しかし、びくともしなかった。


「、、あれ?開かない?」

「、、もう閉まっちゃったのかしら?」


俺は冗談じゃないとガチャガチャ押したり引いたり、タックルしてみりしたがびくともしなかった。


「っち!うるせーぞ。もう諦めろ。」


俺が扉をガンガンしていると、暗闇の方から声がした。声の方に向かってみると、小さなベンチとテーブルがいくつかあった。その側で金髪の男が横になっている。暗くて良く分からないが、何処かで見たような、、月の明かりを頼りに金髪のにーちゃんの顔をよく見る


「あ!アルに負けて泣き叫んでた!」


俺がはっと思いだし口に出すと、金髪のニーちゃんは険しい顔で睨み付けてきた。


「黙れ!」


そう一言大きく発すると丸くなってしまった。



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