貧乏
さて問題です!と1人の天使が悪魔に問う。なぜ人間は平等じゃないのでしょうか?そんなの簡単じゃないかと悪魔は答える。平等という考えがあるからだ!
「いや、まさか(笑)3万の借金でここに落ちてくる馬鹿がいるとは思わなかったよ。」
「俺もまさか3万の借金で、こんなギャンブルの聖地みたいな所に送り込まれるなんて思いませんでしたよ。」
まだ、笑いがおさまらないのかアルはソファーの上でうずくまっていた。シウルおじさんは、アルをソファーの上の置くと、そろそろ稼ぎに行ってくるというとエレベーターに乗って何処かに行ってしまった。俺はめっっちゃお礼を言った後、「今度図書館に遊びに来てください」と誘ったが「管理人があそこにいるうちには絶対行きたくないよ」って言われてしまった。ま、ここに来ればいつでも会える気がするけど。
「さぁ、いっぱい笑ったし(笑)帰ろうかー。」
と、アルお腹を擦りながら立ち上がった。俺も、ソファーからゆっくりと腰をあげた。
「で、どうやって帰るの?」
入ってきた所から出て、また茶色いユニコーンこと馬に迎えに来てもらうのだろうか。それとも、何か魔法の言葉でも言うと出ることが出来るのだろうか?そんなことを考えていたわけだが、アルはエレベーターを指さした。
「借金が無い人は、エレベーターに帰宅するボタンが現れる。それを押すと、元いた所に帰れるということさ。」
俺とアルはエレベーターに向かって歩き出した。このまま何事もなく帰れるといいなぁって思っていたまさにその時だった。突然、中央にある銀行付近から爆発音が聞こえてきた。その直後空気が振動し、耳に響く。アルは俺の頭を掴み、地面に伏せさせた。そして俺の上に被さる。ザワザワしていたフロアが一瞬静寂に包まれると、すぐに悲鳴と叫び声に変わった。俺はきぃーんとなる耳が落ち着くのを待った後に、アルに聞いた。
「、、、、アル?これは?」
俺の上からアルが小さな声で答える。
「借金が多すぎて、どうしようも無くなったやつの犯行だ。まぁ、たまにあるテロだ!!」
アルがゆっくりと、まわりを見渡しながら俺の上から降りる。そして、近くのソファーを指さすと「あそこまでいくぞ」と俺に言った。俺は這いずりながら、ソファーの裏に周った。その後2回爆発音が響く。爆発物のかけらだろうか、空から熱い塊が降り注いだ。
「そこまでだ!!急げ!!これ以上被害を増やすな」
黒服のスーツのお兄さんが何処からドカドカと現れる。別に武装をしているわけではない。そんな格好で爆弾テロに勝てるのかと疑問だが、あいにく勝てていないようだ。
「くっそ、お前大人しくしろ!」
「うっせー!!もうここに何十年閉じ込められていると思ってる!」
そして、また爆発音。突撃していったお兄さんが数名、爆発の衝撃波で数メートル吹き飛ぶ。全員ボロボロの血だらけだ。だがしかし、まるで痛みでも感じないのかのようなスピードで起き上がり、今まさに爆発音がした方へ走り出す。腕が折れている、手が変な方向を向いているや確実に片目が死んでいるお兄さんが見られた。まるで、人間じゃないみたいだ。いや、もしかしたら本当に人間じゃないのかも知れないと思う。俺はソファーの隙間から銀行の方を見ながら思った。
最初の爆発音から30分以上経つ。俺は相変わらずさっきの位置から動けずにいた。どうも犯人は1人ではなく複数いるらしい。1人が捕まっては、何処からかまた1人湧いてくる。湧いてくると大体同じような台詞を言い放つ。
「ここから、出してくれ!出してくれないなら死ぬ!!地獄に行ってもいいから死んでやる!!」
そして、爆発音。もうただの自爆テロだ。そんな中、さっきまでの真面目な感じと違って、ニヤニヤしているいつのもアルが俺の横にいる。全然俺が頼んでもいないのに、この原因の解説を始めた。
「ここから出るには借金をして、博打で稼ぐしかない。でも、そもそも借金をするような人だ、頭がいいわけではない。つまりここから大半の連中は出られのだよ(笑)借金をして、博打でお金を無くす、そしてまた借金をする。どんどん借金が増えていく。」
「そして、返せない額まで借金をしてしまうと?」
「そうじゃない(笑)さっきの金髪の子見ただろ?つまり、自分の借金以上のお金持ちに勝負をして勝てばいい。そうすれば直ぐに金が返せるだろ(笑)」
「でも、馬鹿には勝てるわけない、、か。」
「そうだよ(笑)それにね、こんなことしても意味ないんだよなぁ。ここで死んでも、花畑で生き返るしね(笑)あの馬鹿どもも、巻き込まれた関係ない人も。」
俺の見える範囲には、最初の爆発で受けて動かなくなった30代ぐらいの女の人と、ついさっき飛ばされてきて壁に頭を強く打ち動かなくなった、黒服のスーツのお兄さんが倒れている。2人の体から青い光が出ると何処かに消えてしまった。俺の予想だと、2人は最初にいた花畑で生き返るのだろう。
(いつになったら収まるのかなぁ、、。)
もう、俺は爆発音に完全になれてしまい、居眠りでもしようかと目をつぶった。死んでは花畑で蘇り、またここに来て自爆。恐らく手持ちの爆発物が無くなるまで続くのだろう。




