おみっちゃんを助けて!
この日の夕方でした。
美沙子さんが夕食の支度をしていた時のことでした。
富士雄さんと美津子さんがテレビを見ていた時でした。
「おいっ、ばあさん!」
そうなんです。
実は、この時に美津子さんが倒れてしまったのです。
美沙子さんは、料理の手を止めて美津子さんのそばに行きました。
美津子さんは、この時体を自分で動かすことができなかったのです。
「おいっ、ばあさん!今から病院に行くぞ」
「病院なんか行かないよ!大袈裟に騒がないでおくれよ!」
昔から頑固なところがある美津子さんですから
病院に行くなんてことは、ありませんでした。
しかし、非常事態ではあるため美沙子さんは救急車を呼ぼうとしました。
「美沙子、救急車なんか乗らないよ!じいさんも大げさにしないでおくれよ!」
ここまで病院嫌いだと手の打ちようがありませんでした。
そこで、美沙子さんは信吾先生に連絡を取り非常事態だと伝えました。
「母さんが倒れた⁉
わかった、オレは近くまで帰ってきているからもうすぐ家に着く。
秀樹に連絡とってすぐに帰ってくるように伝えろ!」
この時、秀樹くんは銀次郎とユキの散歩に行っていました。
その時に万一のことがあるといけないからとスマートフォンを
秀樹くんに持たせていました。
「もしもし?」
「もしもし?秀樹?」
「母ちゃん、どうしたの?」
「おばあちゃんが倒れたの。近くにいるならすぐに帰ってきなさい」
そして、信吾先生が帰宅をして美沙子さんが
倒れた時の事情を話していました。
それからしばらくして、秀樹くんが帰ってきました。
銀次郎とユキにお水をあげてから様子を見に来ました。
「これは、救急車で行くレベルかもしれない。
母さん、きちんと病院に行って検査をするから一緒に行こう」
そう言って信吾先生は、美津子さんを救急車に乗せることにしました。
当然ながら、救急車のサイレンで近所が驚くのは無理ありません。
この時、私は家族で夕食をとっていました。
「母さん、近くで救急車が通っているよ。どこの家かな?」
正也が気になるのは無理ありません。
救急車が来るというのは異例のことでした。
「おばあちゃん、大変だよ!秀樹くんの家に救急車が走っているよ」
「本当かい?まさか、おみっちゃんに何かあったのかもしれない。
正也、母さん出かけてくるよ」
私はそう言って、ありさと一緒に信吾先生のところに向かいました。
「おみっちゃん、どうしたんだい?」
「すずちゃん、めまいがしただけだよ」
そう言うと、美津子さんは美沙子さんと一緒に救急車に乗りました。
そして、信吾先生家族が家に帰ってきたのは夜中の12時でした。
朝になって美沙子さんは、入院の準備をしていました。
その時に、美沙子さんから美津子さんの病名を聞かされたのです。
美沙子さんの話では脳梗塞の手前にかかっていたそうです。
夏美さん、お願い。
おみっちゃんを連れて行かないように神様に伝えてちょうだい。
私の親友を虹の橋を渡らせないでと伝えて。
とにかく元気な姿でいたおみっちゃんを連れて行かないでと言って。
私は、一生懸命尾崎家の墓に眠る夏美さんに語り掛けてました。




