表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばあちゃん、大好き!  作者: 真矢裕美
62/91

美沙子さんの知らない苦労

秀樹くんが夏休みに長崎市で行われたテニスの県大会に出ました。

私たちは町を挙げて応援に行きました。

去年も県大会の切符をもらったのですが、残念ながら本選で準優勝でした。

だからこそ、今年こそは県大会の切符をもぎ取って九州大会へと駒を進めたいと願っていました。

「母さん、ありさ、暑いから熱中症対策しないといけないぞ」

「パパ、大丈夫だよ。日傘と帽子、日焼け止め対策しているよ」

「私たちのことはいいから子供たちのこと考えてやりなよ。

試合になったら水分補給と塩分補給が必要だからね」

そして、開会式が終わって団体戦が始まりました。

今回私たち勝どき中学は二回戦からというシード権を得られました。

美沙子さんは信吾先生と一緒に応援に来ていました。

秀樹くんの最後の試合になるかもしれないからと夫婦で応援に来ていました。

美沙子さんは応援に来ていた他のお母さんやお父さんに冷たい飲み物を差し入れしてました。

「ありがとうございます、信吾先生いい嫁さんもって幸せですね」

「うちの嫁さんが甘夏BOYさんの小説が好きで読んでますよ」

「うちなんて甘夏BOYさんと繋がったって喜んでましたよ」

「いやいや、うちの嫁さんが作家志望なのは学生時代からですからね。

これが好きで飯食っていけるんですから天職だったんでしょうね。

自分の給料より稼いでますよ、うちの嫁さん」

「いいじゃないですか、信吾先生。左団扇じゃないですか」

「ところが嫁さんは今でこそ売れっ子作家になりましたが、作家一本でやっていくのに

時間がかかった時期があったんですよ。パソコンが得意なのを生かして電話オペレーターの

仕事をしながら作品を書いていた時期があったんです。そういう苦労を承知の上で自分と一緒に

なって好きな作品を書いてくれって言ったんです。嫁と一緒になってからは自分の給料も薄給の身

でしたから心配した嫁が専業で大丈夫なのかって言ってくれました。

そのたびに心配しないで好きな作品書いてくれって言いました。その間に秀樹が産まれましたが、

次の子供は諦めてくださいと嫁が流産した時に告げられました。自分にとっても嫁にとっても

悲しい出来事でした。それからは秀樹を大事に育てていき、なおかつ嫁にプロの作家になれるように

二人三脚で頑張りました。だからこそ、嫁は自分にとって誇りに思っています」

夏美さん、聞きましたか?

美沙子さんも辛い時期があったんですよ。

それを信吾先生が支えてくれたからこそ美沙子さんは頑張ったんですね。

「苦労をされたんですね。嫁さんがプロの作家になって給料が上がっても先生を立てて

自分の給料は貯金に回していると聞いていますよ。本当に頭が下がります」

「そうですね、うちも共働きですが奥さんは偉いですよ」

夏美さん、聞きましたか?

今では美沙子さんはプロの作家さんですが、プロになるまで頑張ったことが

過去にあったんですね。

あなたも娘たちを置いてこの世を去ってしまった時は寂しかったわよね?

本当なら生きて娘たちの成長を見たかったでしょうね。

だけど、大丈夫ですよ。

私が代わって娘たちが大人になるまで見守っていますからね。

どうか、空の上から見守っていてくださいね。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ