夏美さんの言霊
授業参観が終わり、美沙子さんは職員室に呼ばれました。
そもそもの原因は私にあったのに美沙子さんは私を庇って戦ってくれました。
お義母さんが心配することありませんよ。
私が美沙子さんの体を借りて非常識な人に制裁をしただけですよ。
そもそも犬がいるという理由で子供を置き去りにするなんて母親失格です。
だからこそ私が美沙子さんの体を借りて言いたいことを全部言いました。
私は娘たちが小さい時分にこの世を去った身です。
お義母さんが困っていたことを許すわけにはいきません。
だからこそ、美沙子さんに戦いの盾になってもらおうと思ったんです。
夏美さん、あなたの気持ちよくわかったわ。
ありがとう、美沙子さんの体を借りて私を庇ってくれたのね。
「おばあちゃん、秀樹くんのママ怒られているの?」
「大丈夫だよ、ありさ。ママがちゃんと見守っていますよ。
ママが先生に怒られないように取り計らってくれるよ」
「学校から帰ったらママにお願いする」
夏美さん、ありさの気持ち聞きましたか?
どうか、美沙子さんの気持ちを汲み取ってあげてください。
それからどれだけの時間が過ぎたでしょうか?
職員室の扉が開いて美沙子さんと信吾先生のストーカーとなっていた
母親が出てきました。
「子供がいるのに不倫に走ろうとするのは許すわけにはいきません。
今後同じような真似をすることのないようにお願いしますよ。
笠松さん、下手をすれば弁護士を入れて慰謝料請求もあり得るのですよ。
水沢さんが裁判を起こさなかっただけでもありがたいと思ってください。
これでよろしいですか?二度と子供たちに不快感を与えることは慎むように
してくださいよ。子供たちにとって大事な時期ですからね」
どうやら円満に解決したようですね。
夏美さんのおかげですよ。
本当にありがとう、これで美沙子さんとの絆が強くなったわよね?
これで安心して枕を高くして眠れるわ。
もう心配することはなくなったんですからね。
本当にありがとう。
私はありさと学校を出て尾崎家の墓に眠る夏美さんにお礼を言っていました。




