銀次郎のお嫁さん
銀次郎の世話は美沙子さんがやっています。
だけど、最近の銀次郎は散歩のたびにメス犬を見ると突進していくのが悩みでした。
信吾先生に話をするとこう言いました。
「銀次郎も年頃になったんだよ。おまえの仕事に負担がなければメス犬を飼ってやらないか?」
「銀次郎にお嫁さん来るの?母ちゃん、オレも世話するから銀次郎にお嫁さん見つけてよ」
「でも、これはおじいちゃんが飼っていいと言ってからよ」
美沙子さんは富士雄さんを気にしているようでした。
それを見ていた富士雄さんが言いました。
「犬の一匹も二匹も変わらないだろう?
銀次郎が散歩中に人様の犬にケガさせるよりメス犬を家で飼うほうがいい。
オレとばあさんのことは気にしなくていいから銀次郎に嫁探しをしてやれ」
そういうわけで美沙子さんは以前お世話になった里親斡旋をしてくれた施設に相談をしました。
「それでしたら、銀次郎と同じくらいのメス犬がいますから一度お見合いさせましょうか?
銀次郎が気に入ってくれたら嫁入りさせたらいいと思います。そちらのお宅にお伺いして
二週間のトライアル契約をして問題がなければお嫁入りになりますのでよろしくお願いします」
銀次郎のお嫁さん候補のメス犬は里親斡旋の施設から大切に運ばれてきました。
メス犬の名前はヒメちゃん(仮名)と言いました。
この子を一度美津子さんに見せてもらいましたが、笑顔がとても可愛く賢い子でした。
それも雪のように真っ白で小さな犬でした。
なんでここまでの状況を知っているのかって?
それは授業参観や学校行事で美沙子さんから話を聞いていたからです。
ある日、家の犬の冬美がいつものように遊びに行くと
ヒメちゃんは冬美と仲良くなりたいのか、くっついて離れませんでした。
初めは『あんた、誰?くっついてこないでよ』と冬美はヒメちゃんを嫌がっていました。
しばらくじゃれあっていたら根負けした冬美は、
『あんた、あたしのお姉ちゃんになるの?』と理解したようです。
「すずちゃん、ヒメちゃんと冬美が仲良くなってよかったよ」
「ホントだね、メス犬同士喧嘩しないかハラハラしたよ」
「これでヒメちゃんの嫁入りの心配はなくなったね」
「ところで、ヒメちゃんの新しい名前決めたのかい?」
「この子の名前もじいさんがつけたんだよ。雪のように真っ白な毛並みを見て雪菜とつけたよ」
「雪菜、この子にピッタリの名前だね」
それから二週間のお見合い期間があっという間に過ぎました。
えっ?肝心の銀次郎は気に入ったのかって?
もちろん、最初のお披露目からヒメちゃん(雪菜ちゃん)に一目惚れでしたよ。
「今日でトライアルは終了です。いかがでしたか?」
「この子は雪菜と名付けました。銀次郎の妹(冬美です)とも仲良くなりましたよ」
「そうですか、銀次郎くんと冬美ちゃんがお友達になったんですね。よかったです。
雪菜、いい名前ですね。この子にピッタリの名前をつけてありがとうございます」
こうしてヒメちゃんは雪菜と改名されて幸せに暮らすことでしょう。
夏美さん、銀次郎に素敵な花嫁さんを連れてきてくれてありがとう。
今度は冬美かしら?
だけど、正也が嫁にはやらないぞって言ってますがどう思ってます?
貴女には笑い話になってしまうけど、正也は冬美を離さないようですよ。
これが、ひとみとありさだったらどうするのかしら?
だけど、二人が花嫁になるまではお迎えは来ないから安心してちょうだい。




