表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おばあちゃん、大好き!  作者: 真矢裕美
3/91

神戸からの転校生

夏美さんの一周忌が終わり、桜の季節が来ました。

ひとみは4年生、ありさは2年生になりました。

今日は新学期で二人とも早く帰ってきました。

「おばあちゃん、あたしのクラスに転校生が来たんだよ。

神戸から来たの。名前は水沢秀樹くんって言うの」

どうやら、ありさのクラスに転校生が来たようですね。

「秀樹くんはね、お父さんの転勤でうちの学校に来たんだよ。

お父さんは小学校の先生なんだって」

「おやっ?今年の新任の先生に水沢先生の名前があったね。

秀樹くんのお父さんがひとみの担任になるんだね」

そうなんです。

実は秀樹くんのお父さん、水沢慎吾先生は今年のひとみの担任の先生なんです。

秀樹くんは神戸生まれの神戸育ち、お母さんの美沙子さんは小説家で

甘夏BOYというペンネームで小説を書いています。

正也が美沙子さんの小説「甘い恋心」を読んでいた時のことです。

「珍しいね、読書なんて」

「母さん、この小説面白いんだよ。夏美との青春を思い出すんだ」

「そうかい、母さんも一度読んでみたいわ」

美沙子さんの小説で正也が最近元気になってきました。

表情も明るくなり、家族で頑張ろうという気持ちになったのでしょう。

家庭の雰囲気も変わりました。

孫たちは毎朝の夏美さんへの行ってきますのご挨拶をして

学校に行きました。

5月の母の日には、お仏壇とお墓にカーネーションを活けました。

最近、お菓子作りを二人でするようになりました。

この調子だとお料理にも興味持ってくれるのではと期待をしています。

ありさは最近学校のことをよく話すようになりました。

秀樹くんのことが話題になっているので、ひとみが

「秀樹くんは、ありさのボーイフレンドじゃないからね」

と言うことがありました。

それを聞いた正也が、

「いいじゃないか。秀樹くんはまだお友達がいないから

ありさがお友達になってやるんだぞ」

と言っていました。

そして一学期の授業参観で初めて美沙子さんにお会いしました。

「はじめまして、秀樹の母です」

「はじめまして、ありさの祖母です。あなたの作品読ませてもらっています」

「ありがとうございます、拙い文章を書いているだけです。

喜んでもらえて嬉しいです」

「お仕事頑張ってください。応援しています」

「ありがとうございます」

美沙子さんは物腰のいい優しい人でした。

美沙子さんの小説が温かくて優しいのが一目で感じました。

そして、夏休みになる前のことでした。

秀樹くんがお友達とサッカーをしていました。

ところが、体育館が工事中で入ることができませんでした。

しかし、サッカーボールが工事現場に入ってしまいました。

ありさは工事現場のそばで友達と遊んでいてボールが入ったことに

気がついて、工事現場に入ってしまいました。

ボールが見つかって秀樹くんに届けようとしたときでした。

ありさの頭の上に木の板が落ちようとしていました。

「ありさちゃん、危ない!」

そう言って秀樹くんがありさを庇って大ケガをしてしまいました。

学校からの連絡で美沙子さんと私は学校に行きました。

水沢先生も付き添って秀樹くんは救急車で近くの救急病院に運ばれました。

秀樹くんは頭を3針縫う大けがをしてしまいました。

ありさはただただ泣くばかりでいました。

夜になって、秀樹くんのことでお詫びに行こうと正也と話をして

ありさを連れて水沢先生のお宅を訪ねました。

「このたびはうちの娘のためにもうしわけありませんでした」

「謝ってすむ問題じゃないでしょ。一度間違えたら死んでたんですよ」

「あんた、おみっちゃん」

「すずちゃん、あんたすずちゃんなの?」

そうです、水沢先生のお母さんつまり秀樹くんのおばあちゃんの

美津子さんは私の幼なじみだったのです。

「ごめんなさい、おみっちゃん。秀樹くんの様子はどうなの?」

「今、息子たちと一緒に救急病院に行ってるわ。

頭の精密検査をしないといけないからって1週間入院することになったの」

「お嫁さんは大丈夫なの?」

「ケガしたことがショックだったんだろうね。

今回の連載小説は休載にしたそうだよ。仕事より子供が一番だよ。

すずちゃん、孫さん育てるの大変だけど無理しないでね」

「ありがとう、おみっちゃん」

「ばあさんが許してもワシは許さんぞ」

「じいちゃん、この人は私の幼なじみなんだよ。

お願いだよ、あたしに免じて許してやっておくれよ」

「わかった。おまえがそこまで言うなら許そう」

「ありがとうございます。差支えなければ入院先を教えてくれますか?

この子が秀樹くんに会いたがっていますもので」

「深江町の出水病院に入院しているよ。

また機会あったら行ってあげてちょうだい」

「ありがとう、おみっちゃん」

「すずちゃん、会えてよかったわ。またゆっくり遊びに来てね」

「それじゃ、これから病院に行ってくるよ。本当にありがとう」

それから私たちは秀樹くんの入院している病院に行って

秀樹くんの様子を見てきました。

「いちおう精密検査での入院なので大丈夫だと思います。

ありさちゃん、心配してくれてありがとう」

「ありさちゃん、オレ大丈夫だよ。父ちゃんたちが入院していろって

言うからしかたなくいるだけだから」

「秀樹くん、キミは正義感の強い子だね。ありさを守ってくれてありがとう」

この後、秀樹くんがありさの将来の伴侶になろうとは

この時知る由もありませんでした。

 











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ