秀樹くんのプロポーズ
最近、お店に行くとチョコレートが並んでいます。
間もなく、バレンタインデーが近づいてきています。
ひとみは、手作りチョコレートの本を買ってきて
毎日どのチョコレートをつくるか試行錯誤しています。
「お姉ちゃんはボーイフレンドがいていいな」
「何言ってんのよ。あんたには秀樹くんがいるでしょ?」
「えっ、違うよ。秀樹くんはお友達だよ」
「そう言っているうちがいいのよね。あんたもチョコつくってみたら?」
「誰にあげるのよ」
「秀樹くんに決まっているじゃない」
「やだやだ、そんなことしたら秀樹くんに嫌われる」
「あんたと秀樹くん、まんざらでもないかもよ。
それにあんたが危ない時助けたの秀樹くんじゃない。
心配しなくても大丈夫だよ。一緒にチョコつくろう」
おやおや、今年はありさもチョコレートをつくるようですよ。
考えてみれば、ありさが危ない目に遭いそうになった時に
いつも秀樹くんが守ってくれた。
それは本当にありがたいと思っています。
ありさと秀樹くんがお付き合いしてほしいと思っているのは私の本心です。
秀樹くんならありさを将来幸せにしてくれるだろうと思っています。
夏美さん、あなたもそう思いませんか?
あなたが生きていたら私と同じことを思うのではないですか?
「お姉ちゃん、私もチョコつくってみようかな」
「そうしなよ、勇気出して秀樹くんに告白しなよ」
「うん」
そして、ひとみとありさは毎日チョコレートづくりに頑張っていました。
「おばあちゃん、チョコできたよ」
「おやおや、今年も作ったのかい?」
「今年はありさのも作ったんだよ」
「おやおや、ありさにチョコをもらった人が喜ぶといいね」
「喜ぶに決まっているわよ。だって相手は秀樹くんだから」
「お姉ちゃん、それ言わないで」
「いいじゃないの、ありさが決めた人なんだから」
「おばあちゃん、あたし秀樹くんに渡す自信ないよ」
「大丈夫だよ、緊張したら手のひらに人を3回書いてごらん。
きっと勇気が出るから」
「わかった、あたし頑張ってみる」
そして、バレンタインデーが来ました。
ありさは前日にメールで秀樹くんに話したいことあるからと言って
放課後に体育館の裏に待ち合わせをしました。
この日のありさは緊張していました。
今までのように付き合ってくれるのか不安だったからです。
「ありさちゃん、話って何?」
「あのね、秀樹くん。あたし、今年初めてチョコつくったの。
秀樹くんに食べてもらいたかったの。あたし、秀樹くんが大好き。
もし、秀樹くんがありさより好きな人がいたなら言って。あたし、諦めるから」
「ありさちゃん、ありがとう。オレのために嬉しいよ。
オレもありさちゃんが大好きだよ。中学卒業したらバラバラになるから、
いつかは言わなきゃって思っていたんだ。
ありさちゃん、大人になったらオレのお嫁さんになってくれる?」
「秀樹くん、いいの?ありさがお嫁さんになっていいの?」
「オレは、大人になってもありさちゃんを守るよ。
だから、オレについてきてくれる?」
「うん」
おやおや、バレンタインの告白がプロポーズになってしまったようですね。
この日、家に帰ってきたありさは家族に秀樹くんから
プロポーズされたことを話しました。
「えーっ、結婚の話し始めちゃったの?信じられない」
「順番としては早すぎるな。
しかし、結婚前提にというなら本気で考えているんだろう」
「しかし、今どきの子はびっくりさせられるね」
お嫁さんになってなんて言うことは、秀樹くんが真面目な子だからでしょう。
夏美さん、ありさがお付き合いすることになりましたよ。
相手は秀樹くんです。
私が望んでいた真面目な子です。
どうか、二人の行く末を見守ってくださいね。
やはり、親子ですね。
あなたと正也との交際も中学時代からでしたから。
夏美さん、あなたはありさに秀樹くんを引きあわせてくれたんですね。
ありがとう、間違った道に進まなくて感謝しますよ。
あなたが見守れなかった分私が守っていきますからね。
いつか、ひとみとありさが花嫁衣装を着るまで見守っていきますからね。
どうか、空の上から見守ってくださいね。




